映画の内容を10分程度に編集した「ファスト映画」を、無断で無料の動画投稿サイトに配信したとして、宮城県警と塩釜警察署は24日までに、著作権法違反の疑いで、札幌市の無職高瀬拳也容疑者(25)ら男女3人を逮捕した。捜査関係者によると、ファスト映画の投稿を巡っての逮捕は初めてとみられる。

逮捕容疑は、3人は共謀の上、昨年6~7月に「悪の教典」や「アイアムアヒーロー」などの計5作品のファスト映画を、著作権者に無断で無料動画サイト「YouTube」に投稿した疑い。県警によると、計100本以上投稿したとみられ、再生回数や時間に応じた広告収入で450万円を得ており、さらに増える可能性がある。県警の捜査員が7月ごろにサイバーパトロールでチャンネルを発見。業界団体「コンテンツ海外流通促進機構」などと連携して容疑者を特定した。

逮捕されたのは高瀬容疑者と同居の無職下田和奈容疑者(25)、東京都渋谷区のフリーター菅喬之容疑者(42)。高瀬容疑者は「やったことは間違いないが、作品は思い出せない」と容疑を一部否認している。ほか2人は容疑を認めている。

ファスト映画は、結末までのネタバレを踏まえてナレーションやテロップを入れて編集したもの。コンテンツ海外流通促進機構によると、1年間で55のアカウントから同様の動画が約2100本確認された。総再生回数は約4億7700万回。1本200円の試算で被害総額956億円に上るという。担当者は「これらの動画を見ることは犯罪者に間接的に収益を与え、権利者の利益を損ねていること知って頂きたい」とし、「安易な試聴は控えて頂きたい」と呼び掛けた。