北海道・知床半島沖で乗客乗員26人が乗った観光船「KAZU I(カズワン)=19トン」が遭難し、14人が死亡、12人が行方不明となった事故から9日目の1日、現地対策本部は今後の船体引き揚げをめぐって、運航会社側だけで費用負担が困難な場合、国が一定程度負担する可能性に言及した。

対策本部長を務めていた国土交通省坂巻健太大臣官房審議官に代わり、この日夕方から開かれた家族説明会に同本部長として出席した海上保安庁の勝山潔総務部長が発言した。運航会社にて費用負担が困難な場合に引き揚げの実施はされないのか、という報道陣の質問に対し「そのことだけをもって引き揚げをしないということにはならない」と否定。続いて「捜索とか、救命とか総合的に判断すると思う。事業者ができないということのみをもって、引き揚げがなされないということではないと思う」と話した。

また、引き揚げ費用について国が一定程度負担することもあるのかとの問いには「過去の事例などを見てそういうこともあり得るのではないか」と口にした。船体は23日の事故発生から7日目の29日午前に「カシュニの滝」付近の沖合、水深約120メートルの海底で発見され、連日海上保安庁などの水中カメラを使い捜索活動が続けられている。【山崎純一】