藤井聡太王位(竜王・叡王・王将・棋聖=19)が豊島将之九段(32)に先勝を許した、将棋の「お~いお茶杯第63期王位戦7番勝負第2局が13日午前9時からの2日制で、札幌市「ぬくもりの宿ふる川」で藤井の先手で始まった。

午前10時には午前のおやつが提供された。藤井は「かっぽん ベリー・ピスターシュ」とアイスコーヒー、豊島のタイトル戦でよく頼む「フルーツの盛り合わせ」を、それぞれ選んだ。

「かっぽん」は、対局会場でもある札幌市南区定山渓(じょうざんけい)温泉のPR隊長のゆるキャラ。モチーフになったかっぱが仲間と遊んでいておけに「かっぽ~ん」とはまり、抜けなくなってほおをピンクに染めているという図柄だ。10年前に南区から特別住民票をもらい、昨年には同区の応援キャラクターにもなっている。

この地では古くから岩手・遠野同様にかっぱ伝説で有名で、市内を流れる豊平川沿い「かっぱ渕」という地名がある。地元では、「登別温泉の鬼」のように、PRできるものにとかっぱを選択。1965年(昭40)に「かっぱ祭り」も初めて開催した。

定山渓観光協会で「かっぽん」を担当している小山雅子さん(62)は、おやつに選ばれたと聞いて、「やったー!」と叫んだ。「北海道では登別、洞爺湖とこちらが3大温泉として有名なんですが、『じょうざんけい』となかなかスムーズに読んでもらえない。これを機に、いろいろな場所で名前が響いて知ってもらえればうれしいです。ひびいて何よりかっぽんが一番喜んでいると思います」と声を弾ませていた。

藤井はタイトル戦の地方転戦でよく、「地産地消」「地域貢献」をしている。昨年の王位戦第1局(名古屋市)初日午後の「ぴよりんアイス」、同竜王戦第3局(福島県いわき市)の地元の銘菓「じゃんがら」などが有名だ。今回も盤外戦で1本取った形。かっぱを味方につけて対局の追い風になるか?

持ち時間は各8時間。2日間とも午後0時30分から1時30分の間で昼食休憩。おやつは午後3時にも出される。初日は午後6時の時点で手番の対局者が封じ手を行う。