福島県の日本酒が集う「ふくしまの酒まつり」が1、2日の両日、東京・JR新橋駅西口SL広場で3年ぶりに開催され、来場者は福島県産食材を使った料理とともに酔いしれた。

福島県の酒蔵は、今年5月の全国新酒鑑評会で17銘柄が金賞を受賞し、史上最多の金賞受賞数9回連続日本一を達成した。1774年(安永3)創業の老舗でもある有賀醸造(白河市)は、今年に同社初の金賞を獲得した「陣屋」を出品。有賀義裕社長(68)は「震災の年につくり始めた思い入れのある酒。香りが華やか」と、5月まで県酒造組合会長を務めた最終月に悲願をかなえた受賞酒をうれしそうに注いだ。

「高校野球では宮城の仙台育英が優勝して(優勝旗が)白河の関を越えてくれた。育英以上に白河が脚光を浴びちゃった感じ。酒どころの歴史の街として知られたこともうれしい」。8月に行われた夏の甲子園で東北勢初優勝を果たした快挙に感謝しつつ、「みちのくに来ていただきたい」と観光客らの白河の関越えにも期待した。

東日本大震災の津波で全壊した鈴木酒造店(浪江町)の「磐城寿」にも人気が集まった。東京電力福島第1原発事故の影響によって避難した山形県長井市に移転。昨年3月、10年ぶりに故郷へ戻ることができ、「道の駅なみえ」内に構えた新店舗で再出発したばかり。同店関係者が会場に来られなかったため、酒の提供を担当した県酒造組合の阿部淳専務理事は「磐城寿は復興のシンボル。浪江のすべてが詰まった酒」と、米や水など浪江産にこだわり、風評被害にも力強く立ち向かう存在だと強調した。

福島県は震災以降も、地震や台風などの自然災害で各地が大打撃を受けてきた。今回は県内52酒蔵の約100銘柄が出品。県観光局県産品振興戦略課の渡辺一博課長も「復興のご支援をいただいた恩返しです」と福島から味わい深い日本酒を全国に発信する。【鎌田直秀】