南米チリ領で南米大陸から西に約3700キロの太平洋に浮かぶイースター島で山火事が発生し、島の象徴である「モアイ像」の一部が被害を受けた。チリ紙「ラ・テルセーラ」など地元メディアなどが8日までに報じた。

イースター島のペドロ・エドムンズ市長は3日から続いた火災について「被害は計り知れず、測定不能。取り返しのつかないものだ」と話した。炎で石像が熱され、ひびが入ったという。チリの文化・芸術・遺産省関係者によると、島の面積約1万6000ヘクタールのうち、100ヘクタール以上が焼けた。島には約1000体のモアイがあるが、モアイが切り出され、製造されたと考えられている島東部のラノララク火山付近の約400体のうち、約20%のおよそ80体に被害が出たという。

英ガーディアン紙は、エドムンズ氏が地元ラジオで「(火災は)『事故ではない』と思われる」と述べたと報じた。フランスのメディアは、チリの政府関係者が「牛農家が牧草地のために野焼きを行った」と要因を明らかにしたと報じた。エドムンズ氏は、モアイ像のあるラパヌイ国立公園の警備員が足りていないことなど、政府の支援不足を非難した。

モアイ像があるラパヌイ国立公園は、95年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録され、世界的な人気観光地となっている。イースター島は、新型コロナウイルス対策で2年間停止していた観光客の受け入れを、今年8月に再開したばかりだった。

◆モアイ像 南米チリ領のイースター島にある人の顔を模した石像彫刻。7世紀ごろから約1000年間造られ続けた。形状の起源は不明だが、先祖をまつるための墓碑だった説が有力。島には約1000体のモアイ像があり、平均の高さは3・5メートル、重さは約20トン。最も大きい像は高さ約20メートル、重さは約200トンあり、「テ・トカンガ(巨人)」と呼ばれる。宮崎県日南市のテーマパーク「サンメッセ日南」には、イースター島との友好の証として7体のモアイ像がある。