藤井聡太竜王(王位・叡王・王将・棋聖=20)が名人戦の初挑戦を決めた。東京・千駄ケ谷「将棋会館」で8日に行われた、将棋の第81期A級順位戦プレーオフで、午後11時45分、125手で後手の広瀬章人八段(36)を下し、渡辺明名人(棋王=38)への挑戦権を獲得した。10人総当たりのリーグ戦は広瀬と並んで7勝2敗で終えたため、5年ぶりに挑戦者決定戦が開催された。

「攻めがつながるか微妙かと思いました。先手3七桂(115手目)と打って、難しいですけど、後手玉を寄せる形が見えてきたと思いました」。大一番で勝利をつかみ、ホッとした表情を見せた。角換わり腰掛け銀から攻め合いになったが、「相手の急所が見えづらい形で、距離感のつかめない局面が多かったです」とした。

20歳8カ月での初挑戦権獲得は、加藤一二三・九段(引退=83)が1960年(昭35)の第19期で記録した20歳3カ月に次ぐ。1クラス下のB級1組からA級に初昇級即挑戦の例は、藤井で10例目。このうち83年(第41期)谷川浩司、94年(第52期)羽生善治、16年(第74期)佐藤天彦が名人を獲得した。藤井が第7局で獲得したとしても20歳11カ月で、谷川の持つ21歳2カ月の最年少名人記録を更新する。「意識することではないんですけど、谷川先生の記録にチャレンジできるのは光栄なことですし、精いっぱい頑張りたいです」と語った。

7番勝負第1局は4月5日、東京都文京区「ホテル椿山荘東京」で開幕する。

【赤塚辰浩】