元経産省官僚で慶大大学院教授の岸博幸氏は1日、テレビ朝日系「ワイド!スクランブル サタデー」(土曜午前11時30分)に出演。高市早苗首相が10月31日、中国の習近平国家主席と相対した日中首脳会談について、「結果的に大成功と思っている」と述べた。
日本側の成果について問われた岸氏は「大きな成果はたくさんある。私は、結果的に大成功と思っている」として、そう判断する根拠に自身の経験をまじえて言及。「私自身、役人時代に、外交交渉を経験し閣僚交渉のアレンジもしたことがあるが、今回いちばん注目したのは会談時間」と述べ、石破茂前首相の約35分とほぼ同じ約30分を、中国側が割いたことを指摘した。
「そもそも、高市さんには(首相就任直後に恒例の)習近平主席からの祝電が来なかった。それを考えると、会談時間は非常に短くなる可能性もあったが、結果的に30分という時間は、重視する相手に対する最低限の時間なんです」とした上で「その時間を取ってもらえたのは、中国側が高市さんを無視できない存在と考えたからではないか」と口にした。
中国側は、高市首相のこれまでのタカ派的発言もあり、当初は会談に応じるのかどうかすら不透明だったが、結果的に会談に応じた。岸氏は、その背景について「これは当然、中国はアメリカとの関係がいちばん大事。トランプ大統領と(高市首相と)の会談で、日米関係が強いということも分かった。また、先週の(マレーシアでの)ASEAN(首脳会議)でも、中国が取り込みたい東南アジアの国にも、高市さんは人気があるということが分かった。いろんな要素があったからこそ(時間を)とったわけです」と分析した。
また、「30分には通訳が入るから事実上15分の中で、時候のあいさつもあるので、(会談時間は)実際は10分しかない」とした上で、「その中ではまともな議論はできないので、自分のスタンスをしっかり出すことが大事。日本側は、尖閣やレアアースの問題、人権問題を含め、中国側がいやがることを含めて、全部言った。もちろん中国も(日本に対し)歴史問題や台湾問題について言っている。お互いに言いたいことを言ってスタンスを確認し合ったような感じで、言いたいことは言っても、最後は『戦略的互恵関係』という総論があるので、うまくやっていきましょうとなる。そういうスタートを切れたのが、大成功と言ってもいいのではないかと個人的には思っている」とも述べた。
「具体的に(成果を)取れたものはなくても、大事なのは今の高市政権のスタンスをあえて示したこと。日本人はこういうことは苦手で、外務省も意外と相手が嫌がることは言わせないが、(高市首相は)ちゃんと正直に言ったということも大事ですね」と評した。

