エフフォーリア、ヴェラアズール、デアリングタクトなど、名だたるG1馬に出資してきたKAZFORIA氏が、出資馬を選択する上での着眼点を解説します。(毎週火曜日、木曜日更新予定)
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一口馬主をやっていて泣かされることが多いのが、愛馬の「ノド鳴り」である。のどの弁のような箇所の開閉が不十分なため空気を十分に取り入れることができない病気で、レースでは呼吸が苦しくなって速く走ることができない。「DDSP」というのどの病気も症状は違うが、呼吸が苦しくなることが多いので同様に考えられる。
なおノド鳴りは牝馬より牡馬に多く、牝馬でも500キロ以上の大型馬ではリスクが高まるようだ。
ダイワメジャーのように手術でノド鳴りを克服して活躍する例もあるが、ごくまれなケースだと思う。経験上ノド鳴りになった愛馬の多くは未勝利のまま引退しているし、馬選びには非常に重要な要素である。
セリであれば、レポジトリーと言うのどの内視鏡検査画像が公表され、のどの病気についてある程度の判断がつく。ただ一口馬主ではレポジトリーがないため、写真やDVDといった馬の外観から判断するしかない。ノド鳴りを馬の外見から判断するのは至難の業だが、私は以下の3要素をベースに、写真からノド鳴りリスクの有無を判断している。
1.首のつけ根から胸にかけてのどのラインがはっきり出ているか。
2.のどの部分に不自然な窮屈感がないか。
3.のどの角度が急すぎないか。
経験上ノド鳴りリスクが高いのは以下のような馬で、これらの馬への出資は様子を見るようにしている。
1.のどのラインがほとんど見えない馬。
2.のどの部分の皺が多すぎたり、不自然なくぼみがあったり、のどがかなり狭そうな感じがしたりなど、のどの部分の窮屈感が強い馬。
3.顔を中央で半分に割る線と首を中央で半分に割る線を引き、両線の交わる角度(のどの角度)が80度以下の馬。(下記写真を参照)
なお、息に関する近況コメントは敏感に察知すべきで、追加募集の際に「息が荒い」等のコメントがある馬も様子を見た方がいい。
ただこれは、私が経験を重ねて編み出した1つの基準にすぎず、馬の外観からノド鳴りの有無を判断するという作業自体にそもそも限界がある。のどのレポジトリー情報は、適切な出資のためには一口馬主でも必要不可欠な情報なので、手術歴のように是非情報公開を進めてほしいと願っている。