備えあれば憂いなし。今回の「ケイバラプソディー」は、大阪・下村琴葉(ことは)記者が滋賀・栗東トレーニングセンターの防災対策についてJRAに取材した。競走馬約2000頭が収容されているトレセン。地震や火災などの災害から競走馬を守るために行われている取り組みを紹介する。
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東日本大震災から15年がたった。日本列島を襲った未曽有の大災害は競馬にも大きな影響を与えた。茨城県の美浦トレセンでは震度6弱を観測。ライフラインが止まり、厩舎地区の道路や建物にも損壊があった。滋賀県の栗東トレセンでは目立った被害はなかったが、今後「南海トラフ巨大地震」が起きた場合、大きな被害も予想される。
東日本大震災の後、JRAはトレセンにおける災害対策を見直した。トレセン内は築年数の古い建物も多かったため、耐震補強が行われた。また、防災、防犯に対してのハンドブックを厩舎に配布。“もしも”が起こった際の初動対応などが記載されている。
気になるのは非常時の馬への備えだ。馬が1日に飲む水の量は20~30リットル、食べるカイバは10キロが目安。厩舎それぞれが約20頭分の飼料を備蓄するのは現実的でない。ある調教師は「厩舎にそんなスペースはないし、カイバは傷みやすいものもあるからね…。やらないといけないんだろうけど、難しい」と頭をひねる。
JRA栗東トレセンの保安課担当者は「飼料会社はトレセン構内にもあるし、周辺にも点在している。いきなり地震があっても全く供給が途絶えることはないというところ」と説明。震災時の美浦トレセンでは施設内で給水を行い、断水に対応したという。「リスクがある時に対応できる態勢は地震に限らず整えなければならない。トレセンで働く人たちと意見交換を重ねて前に進んでいきたい」と今後も検討を重ねる姿勢だ。
以前から入念に行っているのは防災訓練だ。厩舎スタッフが参加する訓練を毎年必ず実施。また、消防や警察にも協力を仰ぎ、施設内での訓練や見学も行っている。広大なトレセンの内部を把握してもらう狙いがある。「警察や消防の方も定期的に入れ替わるので。年に1、2回の訓練を繰り返すのが基礎的なものだと思っている」。地域と密に連携を取りながら、競走馬の安全を守っていく。
トレセンは多くの人が働き、多くの馬が日々を過ごす場所。言葉を持たない命も守るために備えは続く。



