第102回の凱旋門賞が10月1日(日本時間同日午後11時5分発走予定)に近づいてきました。
今年はG1宝塚記念でイクイノックスの僅差2着したスルーセブンシーズ(牝5、父ドリームジャーニー、美浦・尾関知人厩舎)が単騎挑戦します。このメンバーに入ると実績では見劣りますが、前走の脚色が素晴らしくダークホースの可能性を感じさせています。父は時計のかかる馬場に強いドリームジャーニー。今年も道悪になるようなら余計に良さそうです。鞍上はクリストフ・ルメール騎手の予定です。
今回の凱旋門賞の特徴は前年の上位入着馬が見られないことでしょう。凱旋門賞を最後に引退したアルピニスタを筆頭に上位5着までに入った馬の姿がなくなって、中心勢力は3歳馬に移っています。
前売り1番人気の座にあるのはデビューから4連勝でG1仏ダービー(シャンティイ、芝2100m)を制し、8月のG2ギヨームドルナノ賞(ドーヴィル、芝2000メートル)をステップに5戦全勝で本番に挑む地元のエースインパクト(牡3、父クラックスマン)です。仏ダービーでは強靱(きょうじん)な末脚でレースレコードを更新。決め手比べで頭ひとつ抜けている印象です。意外なことに2400メートル戦はこれが初めて。キャリアの浅さとともに、このあたりが死角といえば死角になるのかも知れません。
これに対抗するのはG1キングジョージ6世&クイーンエリザベスSを制して上半期の王座に君臨した古馬のフクム(牡6、父シーザスターズ)です。これまでは1歳年下の弟バーイード(昨年の全欧年度代表馬)の陰に隠れていましたが、前走の勝利で一躍脚光を集めました。父のシーザスターズは09年の勝ち馬。産駒に18年の2着馬シーオブクラスを送っていて凱旋門賞とは相性の良い血統です。
3番人気はフィードザフレイム(牡3、父キングマン)と、日本産馬のコンティニュアス(牡3、父ハーツクライ)が分けています。
前哨戦のG2ニエル賞(パリロンシャン、芝2400メートル)は追い込み届かず2着でしたが、これをたたいて参戦するフィードザフレイムは春にG1仏ダービー4着ののち、本番と同舞台のG1パリ大賞で英オークス馬ソウルシスターなどを退けました。母の父はエルコンドルパサーを2着に退けて凱旋門賞馬となったモンジューです。
9月16日のG1英セントレジャー(ドンカスター、芝2910メートル)を完勝したコンティニュアスの評価が急上昇しています。英セントレジャーは豪快に伸びて、本格化をアピールしました。陣営は12万ユーロ(約1900万円)の追加登録料を支払って出走に踏み切る予定です。これまで英セントレジャーから凱旋門賞を連勝した馬はいませんが、遅れてきた大物がジンクスを破るかもしれません。
例年のように伏兵候補も多彩。凱旋門賞8勝のアンドレ・ファーブル厩舎が送るプレイスドゥカルーゼル(牝4、父ロペデヴェガ)はG2フォワ賞優勝をステップに参戦。昨年の6着馬でキングジョージ2着、G1サンクルー大賞勝ちのウエストオーバー(牡4、父フランケル)、昨年の7着馬でG1タタソールズゴールドC優勝、G1愛チャンピオンS2着のルクセンブルク(牡4、父キャメロット)、G1コロネーションC優勝で、古馬牝馬を代表するエミリーアップジョン(牝4、父シーザスターズ)あたりにもチャンスがありそうです。
G1独ダービー馬で、G2ニエル賞を制したファンタスティックムーン(牡3、父シーザムーン)とG1愛チャンピオンSで4度目のG1制覇となったオーギュストロダン(牡3、父ディープインパクト)の注目2頭は馬場が乾きそうな場合にのみ出走が検討される模様。出てくれば当然、有力候補ですが、果たして…。
9月21日現在の主要ブックメーカーによる凱旋門賞の前売りオッズは以下の通りです(人気上位馬と日本馬のみ抽出)。
・エースインパクト(牡3、父クラックスマン、仏J・Cルジェ厩舎)4・0~4・5倍
・フクム(牡6、父シーザスターズ、英O・バローズ厩舎)5・0~6・5
・コンティニュアス(牡3、父ハーツクライ、愛A・オブライエン厩舎)7・0~10・0
・フィードザフレイム(牡3、父キングマン、仏P・バリー厩舎)8・0~10・0
・ウエストオーバー(牡5、父フランケル、英R・ベケット厩舎)8・0~12・0
・エミリーアップジョン(牝4、父シーザスターズ、英J&T・ゴスデン厩舎)11・0~17・0
・オーギュストロダン(牡3、父ディープインパクト、愛A・オブライエン厩舎)11・0~31・0
・ルクセンブルク(牡4、父キャメロット、愛A・オブライエン厩舎)11・0~33・0
・スルーセブンシーズ(牝5、父ドリームジャーニー、尾関知人厩舎)13・0~26・0
・シムカミル(牡4、父タマユス、仏S・ワッスル厩舎)15・0~21・0
・プレイスドゥカルーゼル(牝4、父ロペデヴェガ、仏A・ファーブル厩舎)17・0~26・0
・ファンタスティックムーン(牡3、父シーサ゛ムーン、独S.スタインベルク厩舎)17・0~39・0
(ターフライター奥野庸介)
※競走成績は9月21日現在