2番人気タイトルホルダー(牡4、栗田)が圧巻の逃走劇でG1・2勝目を飾った。横山和生騎手(29)はJRA・G1初制覇。祖父富雄元騎手(71年メジロムサシ)、父典弘騎手(96年サクラローレル、04年イングランディーレ、15年ゴールドシップ)に次ぐ、史上初の春の盾親子3代制覇となった。

凱旋門賞(G1、芝2400メートル、10月2日=パリロンシャン)に登録しており、今後は宝塚記念(G1、芝2200メートル、6月26日=阪神)も視野に入れる。

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ゴールの直後、鞍上は左手を高々と突き上げた。父は検量室前で栗田師と抱き合う。父が3度制した天皇賞・春を息子も勝った。横山和騎手は「うれしいです。迷うことなく、馬と仲良く走ろうと思っていました」と振り返った。

絶妙な手綱さばきだった。抜群のスタートからハナに立つ。最初の1000メートル通過は1分0秒5。次の1000メートルは1分3秒1。最初に後続を離し、道中で引きつけた。「馬が自分で分かっていたと思う。そろそろ入れたいなというところで、息が入った」。内回りの3~4角で他馬の手が動いても、持ったまま直線へ。上がり最速36秒4の脚で突き放すと、迫る馬はいなかった。父が勝った04年イングランディーレと同じ7馬身差。自身はG1初制覇、横山家にとっては春の盾親子3代制覇となった。

「自信を持って乗りました。馬と呼吸を合わせて走ろうと思っていた。3代制覇? うれしいです。タイトルホルダーとコンビを組ませていただいて、G1を勝たせてもらって、本当にありがたいです」と感謝の思いを語った。

母メーヴェは欧州の長距離血統。ドゥラメンテを配合し、岡田スタッドが生産、生まれた時から長距離馬として育てた。1歳の頃から広大な敷地での夜間放牧で鍛えた。熊などの野生動物が出る、危険で過酷な環境。同牧場の岡田牧雄代表は「タイトルホルダーはへっちゃらな顔をしていた。1歳の夜間放牧で、ケロッとしている馬はほとんどいない。その時点で普通の馬ではなかった」と明かす。生粋の長距離馬×横山家の血という“配合”が導いた勝利でもあった。

G1・2勝目を挙げ、今後への期待はふくらむ。栗田師は「凱旋門賞にも登録しているし、宝塚記念もプランの1つ。オーナーと相談しながら」と語った。次の舞台でも逃走劇を見せるのか。名ステイヤーの今後が楽しみだ。【網孝広】

◆タイトルホルダー ▽父 ドゥラメンテ▽母 メーヴェ(モティヴェイター)▽牡4▽馬主 山田弘▽調教師 栗田徹(美浦)▽生産者 岡田スタツド(北海道新ひだか町)▽戦績 11戦5勝▽総収得賞金 5億8933万1000円▽主な勝ち鞍 21年弥生賞ディープインパクト記念(G2)、菊花賞(G1)、22年日経賞(G2)▽馬名の由来 選手権保持者。父、母父、2代母父がダービー馬なので