国枝栄師(67)が、2日函館10R洞爺湖特別のクライミングリリーでJRA通算1000勝を達成した。史上15人目で現役では唯一。福島競馬場内でレースを見届けたトレーナーは、調教師仲間やジョッキーから祝福を浴び、場内での花束贈呈時には競馬場のファンから温かい拍手を受けた。1990年に開業し積み重ねた調教師生活は33年。このレースが通算8430戦目だった。

大台達成を無事に迎え、ホッとした表情を浮かべながら「良かったです。福島で勝てませんでしたが、気楽にテレビ観戦して勝つことができて良かった。丈夫に生んでくれた両親、数々の失敗をしているのに我慢してくれた馬主さん、生産者、厩舎のスタッフ、ファンの方々、家族など皆さまのおかげだと思っています」と感謝の思いを語った。

関東の2大巨頭として互いを高め合い、今年2月末引退した藤沢和雄元調教師からもお祝いの言葉がかけられたという。「藤さんの通算勝利(1570勝)はあと3年少しなので難しいけど、ダービーを2勝(藤沢和師はレイデオロの1勝)すれば追い抜けるかな」とユーモアたっぷりに笑みを浮かべた。1000勝のうち最も印象深かったレースには衝撃のレコードで快勝したアーモンドアイの18年ジャパンCを挙げた。その衝撃を超える勝利に向け、名伯楽は今日も次の1勝へ歩みを進める。【井上力心】