JRAは10日、2022年度JRA賞競走馬部門の受賞馬を発表した(年齢は明け年齢)。

年度代表馬には天皇賞・秋、有馬記念を制したイクイノックス(牡4、木村)が選ばれた。皐月賞、ダービーは2着に敗れたが、古馬相手に天皇賞・秋と有馬記念を連勝。最優秀3歳牡馬のタイトルも獲得した。16、17年の父キタサンブラックと史上5組目となる親子での年度代表馬受賞となった。

イクイノックスが記者投票288人のうち282票を獲得し、年度代表馬に輝いた。クラシックは皐月賞でジオグリフ、ダービーでドウデュースに苦杯を喫したが、秋2戦の結果で世代最強、国内最強を印象づけた。3歳牡馬の年度代表馬は昨年のエフフォーリアに続き2年連続。ノーザンファーム生産馬が5年連続の年度代表馬となった。

「1番人気が勝てない」と言われ続けた22年のG1戦線にあって、天皇賞・秋と有馬記念をともに1番人気で制し、ファンの大きな期待に応えた。天皇賞・秋はパンサラッサの大逃げをゴール寸前で鮮やかに差し切り、有馬記念は2周目の4角を馬なりで上昇し、他馬との力の違いを見せつけた。

水色に赤い水玉の勝負服(シルクレーシング)。同馬主のアーモンドアイは2度の年度代表馬に輝き、G1・9勝の金字塔を打ち立てた。偉大な名馬と比較されるほど、昨秋のイクイノックスのパフォーマンスは特別だった。ルメール騎手は「ウイークポイントがあまりない馬。ストライドがすごくいいし、メンタルも強い。(G1・9勝の)アーモンドアイは特別だけどまだ良くなるし、G1を勝てば近づける」と将来への期待を語っている。

父キタサンブラックは3歳秋の15年菊花賞でG1初制覇を果たし、古馬になって本格化。4歳時(16年)、5歳時(17年)に2年連続で年度代表馬に輝いている。初年度産駒、代表産駒として、偉大な父と同様の成長力を見せれば、史上初の「2年連続親子年度代表馬」も夢ではない。

管理する木村師は、昨年2月のサウジ遠征でメディアにイクイノックスについて質問され「海外に行って世界のホースマンに見ていただく価値のある馬」とその存在の大きさを語る。世界のビッグレースに打って出るとすれば、2~3月の中東(サウジカップ、ドバイシーマクラシック)や4月の香港(クイーンエリザベス2世C)、夏の欧州(キングジョージ6世&クイーンエリザベスSや英インターナショナルSなど)、10月の凱旋門賞(フランス)、11月のブリーダーズカップ(米国。今年は西海岸サンタアニタ競馬場で開催)、12月の香港国際競走などが選択肢になる。国内最強を確固たるものにするためには、大阪杯やグランプリ連覇のかかる宝塚記念、連覇がかかる天皇賞・秋と有馬記念、初制覇の期待がかかるジャパンCのタイトルも譲れない。23年もイクイノックスの活躍から目が離せない。

◆親子での年度代表馬受賞 JRA賞が選定された87年以降では昨年まで2組。05、06年ディープインパクトと12、14年ジェンティルドンナ、13年ロードカナロアと18、20年アーモンドアイ。それ以前を含めれば76年トウショウボーイと83年ミスターシービー。84、85年シンボリルドルフと91年トウカイテイオーがいて、計4組が達成している。父と子(牡馬)の年度代表馬受賞は91年トウカイテイオー以来31年ぶり。