美浦トレーニングセンター坂路コース、新たな歴史の1歩目です。
リニューアルされた美浦坂路の試走会が21日に行われました。美浦所属の現役馬8頭に騎手、調教師、調教助手が騎乗。コースの感触を確かめました。騎乗した小島茂師は「今までよりいいものが出来たと思いますよ。今日の感触は一番いいじゅうたんの上を走っているようでした」と、好印象を口にしました。
本格的な運用開始は10月4日から。この日の試走会はコースの確認が主な目的だったため、各馬のスピードは抑えめ。安全かつスムーズに登坂が行われました。本格的な調教が開始された場合の懸念点も考えられます。以前と比較すると、調教タイム計測区間のゴールが50メートル手前に変更。「コーナーからゴールへの距離が近くなりました。後は景色が変わりましたね。今日は戸惑っている馬はいませんでしたが、そこを考えて乗る必要があるのかなと思います」(小島師)。以前はゴール後すぐに下り坂があった影響で、危険を感じる騎乗者もいたとのこと。安全性は増した一方で、変更点に慣れるまでの数カ月間は慎重に調教が行われていくものと想定されます。
以前、美浦のある調教師は「2歳時の調教をウッドから坂路中心に組み替えたところ、成績がぐんと良くなったんです」と話していました。競走馬にとって、坂路の存在はとても貴重なもの。高低差が従来よりも15メートル拡大して33メートルに。栗東坂路よりも1メートル上回った“進化版美浦坂路”が、新たな名馬を育てるかもしれません。【阿部泰斉】