笑いあり、涙あり-。3日は、東西6人の調教師が定年のため引退を迎えた。安田隆行師(70)は阪神2Rで最後の白星となるJRA通算967勝目(うち重賞59勝)、地方&海外を含めて998勝目を挙げた。小倉で行われた引退セレモニーでは感極まりながら、競馬場に別れを告げた。
安田隆師は調教師最後の日に全国3場へ計13頭を送り込んだ。臨場場所として選んだのは小倉。「私にとって特別な場所です」。騎手デビューから2年目に大きな落馬事故に遭い、5日間意識が戻らなかった。そんな苦労した時代に、復活のきっかけを与えてくれた地だったという。
「小倉では45週連続勝利もできた。『小倉の安田』と言われたのは本当にうれしかった」
昼休みの引退セレモニー。大勢のファンの前であいさつに立った時、「騎手、調教師として…」と話したところで感極まった。「まさか、自分が泣くなんて思っていなかった」。最後まで小倉のファンの温かさに心を打たれた。
調教師として積み重ねた勝利は海外、地方を合わせて998勝。目標とした1000勝には届かなかったが表情は晴れやかだった。「これからは馬券を買って競馬を盛り上げます!」。【岡本光男】
◆安田隆行(やすだ・たかゆき)1953年(昭28)3月5日生まれ。京都府出身。72年騎手デビュー。91年皐月賞とダービーをトウカイテイオーで勝利。94年に調教師免許取得、95年開業。19年はJRA62勝を挙げ全国リーディング。ロードカナロア、カレンチャンなど優秀な短距離馬を多く育て「短距離王国」と呼ばれた。
■松永昌師もラストラン
騎手時代、ナイスネイチャの主戦を務めたことで知られる松永昌師は小倉12Rで最後のレースを終えた。「(競馬人生は)あっという間だったな」。人情の厚い人柄として知られ、セレモニー後も師を囲む輪はなかなかとけなかった。今後の生活について聞かれると「朝から酒を飲むしかないな」。最後までユーモアも失わなかった。JRA通算370勝、重賞11勝。

