遅くなってしまいましたが、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

本欄2度目の年明けとなりましたが、昨年の今ごろはまさかこんな状況になっているとは思わず、私的な旅という意味では11月を最後に定期券区間以外はほとんど訪れていません。そんな中から昨年の印象に残る旅を振り返りつつ、今後を考えてみます。

〈1〉早雲の里荏原の駅名標
〈1〉早雲の里荏原の駅名標

昨年の年明けは井原鉄道(岡山、広島=1月30日、2月6日掲載)でした。その前年から2カ月の間に3度の訪問。すっかりお気に入りになってしまいました。平成11年(1999年)1月11日の11時11分11秒という「超1並び」に開業したことにちなんだ年に1度の感謝デーに訪問。以前から降りたかった「早雲の里荏原駅」と行きたかった井笠鉄道の矢掛駅跡を訪問で大満足。その時もらったバッグはレジ袋が完全有料となった今、エコバッグとして活躍中です(写真1~3)。

1月30日掲載 2カ月で3回も来てしまった 井原線の魅力(前編)

2月6日掲載 感謝デーの盛況に驚くばかり 井原線の魅力(後編)

〈2〉多くの人でにぎわった昨年の感謝デー
〈2〉多くの人でにぎわった昨年の感謝デー
〈3〉今はバスターミナルとなっている井笠鉄道の矢掛駅跡。ベニヤで覆われているところが駅名標だった
〈3〉今はバスターミナルとなっている井笠鉄道の矢掛駅跡。ベニヤで覆われているところが駅名標だった

鉄道の本筋に関係なく思い出深いのは3月の新垂井駅跡(岐阜=4月16、23日掲載)。これは鉄路どうこうより「40年も乗らないと自転車の運転ができなくなっている」という事実にがくぜんとしたこと(写真4)。正直情けなかった(泣)。

4月16日掲載 天下分け目の関ケ原は東海道本線の分け目でもあった

4月23日掲載 垂井~新垂井跡 秘密兵器「えけい号」で出陣じゃ~

〈4〉関ケ原の戦いにちなにんだレンタサイクル「えけい号」と新垂井のホーム跡
〈4〉関ケ原の戦いにちなにんだレンタサイクル「えけい号」と新垂井のホーム跡

このころ既に青春18きっぷの季節だったにもかかわらず、大垣ダッシュは見られないという状況で、桜がきれいだということは分かっていながら再訪はかなっていません。まぁ次回は電動補助の自転車を借りるかもしれませんが(笑い)。ただ新垂井駅という駅名ながら垂井駅を残して廃駅となってしまった駅の歴史には、いろいろ考えさせられました。

その後、ようやく動き始めたのは7月になってから。訪れたのは片上鉄道(岡山)の廃線跡と旧吉ヶ原駅(8月6、13日掲載)。駅舎だけでなく今も動態保存されている数々の車両そして卵かけご飯に感動しました。また原稿執筆にあたっては、片上鉄道保存会と美咲町の方々にはとてもお世話になりました。感謝の気持ちでいっぱいです(写真5~7)。

8月6日掲載 また乗りたい、保存会有志による展示運転 かたてつ

8月13日掲載 かたてつ廃線跡と美咲町「卵かけご飯」を求めて


〈5〉吉ヶ原駅は約90年前からの姿をそのまま残していた
〈5〉吉ヶ原駅は約90年前からの姿をそのまま残していた
〈6〉動く車両としては国内で最も古いキハ303
〈6〉動く車両としては国内で最も古いキハ303
〈7〉交通公園に残る移設された腕木式信号機と駅名標
〈7〉交通公園に残る移設された腕木式信号機と駅名標

青春18きっぷシーズンを迎えてからは、給付金の10万円は兵庫県内で使おうと、豊岡、赤穂、加西で宿泊した。交換設備の利用開始前夜の北条鉄道(8月20、27日掲載)を全駅訪問(写真8、9)。

8月20日掲載 トコトコと一乗寺、鶉野飛行場跡へ 北条鉄道北条線

8月27日掲載 山中のローカル線 北条鉄道、癒やしの全駅訪問


〈8〉行き違い設備完成のヘッドマーク付き列車
〈8〉行き違い設備完成のヘッドマーク付き列車
〈9〉交換設備ができた法華口駅。100年以上の木造駅舎が残る
〈9〉交換設備ができた法華口駅。100年以上の木造駅舎が残る

播但線巡りと廃線跡探しも(9月3、10日掲載)。特に成果があったのかなかったのか分からない廃線跡探しは猛烈に暑かったことだけを覚えている(写真10、11)。また宿のテレビでサンテレビの阪神戦中継を見る経験は、なかなか新鮮でした。

9月3日掲載 山深い長谷駅へ 青春18きっぷ手に播但線の鉄道旅

9月10日掲載 1駅戻って和田山方面へ 播但線の非電化区間を巡る


〈10〉山中にたたずむ長谷駅
〈10〉山中にたたずむ長谷駅
〈11〉亀山駅のあった場所には駅名標のレプリカが設置されている
〈11〉亀山駅のあった場所には駅名標のレプリカが設置されている

暑いといえば8月の因美線訪問(鳥取、岡山=9月17日、10月1、8日掲載)。特に岡山県側の因美線駅巡りは、わずかな本数の鉄道とバスそして徒歩を組み合わせた最近やっていなかった「ガチンコ旅」(写真12、13)。

9月17日掲載 味わい深い因美線 鳥取~智頭の未踏駅を訪ねる


〈12〉登録有形文化財となっている美作滝尾駅
〈12〉登録有形文化財となっている美作滝尾駅

誤算だったのは最初に訪れた3駅で清涼飲料水の自販機がなかったこと。これは参った。この際、ツイッターで「因美線自販機情報」を投稿したら多くの評価をいただきました。もしこの情報をもとに旅をしてくれた人がいれば(いるのでしょうか?)うれしいです。ちなみに、これを機に駅の自販機に注目するようになりましたが、かなりの閑散路線でも自販機はありました。ある意味、貴重な経験をしました。

〈13〉年輪を刻んだ木造駅舎の知和。駅からは見えないが少し歩くと自販機があった
〈13〉年輪を刻んだ木造駅舎の知和。駅からは見えないが少し歩くと自販機があった

10月1日掲載 寅さん最終話ロケ地・美作滝尾駅で憩う/因美線南側

10月8日掲載 記憶に残る因美線 やはり「全国区」の路線であった



9月は岳南電車(静岡県)の全駅訪問(10月15、22日掲載)そして内子線(愛媛県)訪問と廃線巡り(11月5、12日掲載)。

10月15日掲載 富士山拝めずとも1駅ごとに楽しい発見ある岳南電車

10月22日掲載 岳南電車さまざまな企画盛りだくさんでグルメも満足


〈14〉かつて活躍した機関車が留置されている岳南富士岡駅
〈14〉かつて活躍した機関車が留置されている岳南富士岡駅

岳南電車からの富士山をまたも見ることができず、再訪を決めたことと、20年以上前せっせと内子線の新谷駅に通った思い出と廃線跡の美しさが目に焼き付いています(写真14、15、16)。

11月5日掲載 わずか5キロの内子線はとてもノスタルジックなのだ

11月12日掲載 100年の歴史刻む内子線、廃線区間の痕跡を求めて

〈15〉新谷の駅前にある松本零士さんによるモニュメント
〈15〉新谷の駅前にある松本零士さんによるモニュメント
〈16〉かつて内子線の分岐だった五郎駅には今も内子線用のホームが残る
〈16〉かつて内子線の分岐だった五郎駅には今も内子線用のホームが残る

10月の万葉線、富山地鉄(富山県=11月19、26日掲載)が現時点での最後の宿泊旅。実は万葉線は3月に次いで今年2回も乗りに行きました(写真17)。

11月19日掲載 「富山地鉄」全線乗車へやり残し含めてアプローチ

11月26日掲載 富山地鉄は「文字案件」とレトロな駅舎、車両の宝庫


〈17〉念願のドラえもんトラムに乗車(西新湊駅)
〈17〉念願のドラえもんトラムに乗車(西新湊駅)

乗車したことのない路線を目指すより気に入ったら何度でも同じ所に行ってしまうので、このようなことになりがちです。ただ路面電車を含む富山地鉄は今回初めて全線乗車。初訪問の駅にはしびれました(写真18、19)。結局、日本全線乗車マップで昨年新たに塗りつぶされたのはここだけでした。この後、東京への日帰りを何度かした以外は優等列車というものには乗っていません。

〈18〉絶対に行くと決めていた大川寺駅
〈18〉絶対に行くと決めていた大川寺駅
〈19〉昭和初期の駅舎がほぼそのままの形で残る西魚津駅にしびれた
〈19〉昭和初期の駅舎がほぼそのままの形で残る西魚津駅にしびれた

さて今後ですが、しばらくは再び身動きできそうにないので、まだ文字にしていない昨年の旅を原稿にしつつ、散歩ぐらいできるような環境になれば、密にならない廃線巡りを近場で行いたいと考えています。【高木茂久】