なぜバントではなかったのか。1点を追う7回の阪神の攻撃は疑問が残った。先頭木浪がヒットで出て無死一塁。一番頼りになる福留の前に、しっかり二塁に進めたい。だが近本は強攻で、当てにいった三邪飛。ネクストの福留もアレっと思ったんじゃないか。木浪が出た瞬間に、1死二塁での打席を想定したと思うから。追い込まれた4球目に木浪の代走植田を走らせ、結果的に1死二塁にした。しかし、ただでさえ点が取れない終盤で、冒険する場面ではない。送って3番福留、4番マルテに託す場面だ。

もっといえば木浪になぜ代走なのか。今、チームで一番当たっているのが木浪だ。だから1番に置いている。さらにその時点で9回に木浪に回る可能性が高かった。この日2安打3出塁の好打者をなぜ代えたのか。代えてまで勝負に出るなら近本は手堅くバントではなかったのか。冒険の盗塁ではなくセオリー通り送っていれば、福留もヨシとなって走者をかえすバッティングになっていたはずだ。

打線は初めて大山をスタメンから外したが、変わらず振りの弱さが目立った。当てに行く打撃ばかりでより迫力がない。高橋も田口も決して良くなかったのに、甘い球を仕留めきれない。チームの本塁打王と打点王の2冠を外すぐらいだから、首脳陣もよほどの決断だったと思う。ただこの状況では、すぐ使わざるを得なくなるかもしれない。点を取れる気配がないし、それほどの苦しさを感じた。

残り22試合で6・5差になると2位のDeNAは追いつけないだろう。ただ3位の広島は投手陣がバテて、バティスタが抜けて打力が落ちている。3差なら3位は十分射程圏。しっかり目標を定めて戦って欲しい。