今季の日本ハムは、長打力不足に泣いた。圧倒的な攻撃力を持つ西武とは、(26日現在)197点もの大きな得点差があるのだが、決定的な違いは、走者一塁の状況でなかなか点が取れないことだ。この日の4回も象徴的だった。押し出し四球でもらった得点はあったものの、清宮からの4連打はすべて単打。得点力が高いとは言えない。

シーズン序盤こそ、西川が出塁して大田の長打で生還する形も見られたが、徐々に減っていき、盗塁で補うこともできなかった。投手陣に疲れが出る夏場以降は「打ったチームが勝つ」。僅差でマウンドに上がる投手は圧迫感があり、四球も増える。攻撃の援護がなかったことで、チームは悪循環に陥った。8月の大失速の要因は、このあたりにある。

マルティネスは1年を棒に振り、上沢も交流戦で離脱した。先発の2本の柱を失ったのは痛かったが、それでもショートスターターなどを駆使し、苦しい台所事情でもよく頑張っていたと思う。この日の杉浦も移籍後最多の90球を投げ、来季へつながる投球を見せた。今秋、そして来春のキャンプを経て、しっかり中6日で100球を投げられる体の状態になれば、ローテに入ってくる。先発投手陣の厚みは増していくはずだ。(日刊スポーツ評論家、侍ジャパン投手コーチ)

日本ハム対オリックス 日本ハム先発の杉浦(撮影・黒川智章)
日本ハム対オリックス 日本ハム先発の杉浦(撮影・黒川智章)