阪神が6連勝で貯金を早くも2ケタ10とした。

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阪神ベンチが“石川攻略”にみせたのはトリッキーな仕掛けだった。藤浪の2ランが飛び出す直前、5回四球で出塁していた梅野が、2死一塁の場面で二盗を成功させたのだ。

山田 阪神は面白い作戦を2つ繰り出している。ピッチャー藤浪が打席に立ったあの場面での梅野の盗塁は考えにくい。その後、石川はカウントを悪くし、3-2から本塁打を浴びてしまう。阪神は石川のクセを完全に見抜いていたといえるだろう。そうじゃないとあのシチュエーションで梅野を走らせるのは難しい。逆に石川もあそこで打たれてるようではダメだね。チームが追いかける気力を失ってしまう。面白い作戦は2回裏にもあった。

2回1死。サンズが中前打で出塁。続く6番佐藤輝の2ストライクからの3球目、サンズがスタートを切った。三振の多い佐藤輝は変化球に空振り、サンズも盗塁死。三振ゲッツーで得点に至らなかった。

山田 ここも石川のクセが分かっていたからサンズにスタートを切らせたのだろう。石川が投じたのは121キロの変化球。阪神はセーフになる確率を100パーセント近くと読んでの作戦だったはずだ。だが佐藤輝の空振り三振は仕方がないが、チームの思惑からいけばサンズはセーフにならないといけない。つまり2死二塁で得点圏打率の高い梅野に回すのが理想的だった。チーム全体で「対石川」を研究したのだろうから狙いは悪くなかった。

藤浪が5回2/3を5四死球をだしながらなんとか2勝目を挙げた。

山田 ちょっと評価のしようがない。あれだけ荒れると打者は怖くて踏み込めない。突然体の近くにきたかと思えば、たまにいい球を投げられる。逆に投手からすると「ストライクさえ入れば…」という心理になるものだ。あえて昨季との違いをいうなら、引っかけたり、すっぽ抜けの球が続かないことだろう。【取材・構成=寺尾博和編集委員】