投手、内野手が守りを確認する、いわゆる“投内連係”の練習は重要だ。シーズン中はなかなかできないので、特にこのキャンプの時期にしっかりやっておく必要がある。

この日、阪神のそれを見ていたが少し気になったことがあった。例えば投手が投げ、仮想の打者がバントをしたゴロを捕手がとって三塁へ送る場面。投手の投球が浮いたり、外れたりする。これは、まずストライクゾーンに投げ込まないと意味がない。

さらにベースへの野手の送球もそれたり、捕る方がはじいたりする。ミスが出るのは仕方がないが、思うのは「実戦のつもりでやっているだろうか」ということだ。練習のための練習では意味がない。そうは言っても送球ミスをした若い投手を頭から叱責(しっせき)しても仕方がない。萎縮するだけである。重要なのは、いかに緊張感を持たせるか、ということだ。

練習中はこんな光景だった。三塁側に順番を待つ投手が並んだり、走者役を務める野手が三遊間のうしろにいたりで1つのプレーにワイワイ声を掛ける。活気が出るという意味はあるのだろうが、試合でその状況はあり得ない。自分が監督だったときは、この種の練習をする際はなるべく実戦と同じムードを出すため、他の選手はグラウンドにいれないように努めていた。

全体的に阪神はいいキャンプを送っているように感じたが、どんな練習でも練習のためのそれでは意味がない。常に実戦を意識してやるかどうか。そこが大事だと思う。(日刊スポーツ評論家)