阪急ブレーブスで通算284勝をあげた元中日監督・山田久志氏(73=日刊スポーツ評論家)が、開幕から約1カ月がたったセ・リーグをチェックした。阪神については「先発ローテーション」「打線」「守備位置」のメンバー固定ができる時期をポイントとし、投手力をカバーする得点力アップをチーム浮上のカギとした。

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-開幕から約1カ月が経過して各チームに差がついてきました

山田氏 広島と中日が目立ってるね。広島は鈴木誠が抜けてしんどいと言われたが、意外にもその穴を埋めている。先発はそこそこだが、中継ぎのコマがそろってきた。中日は鵜飼、石川昂ら若手を前面にしながらの戦いがいい方に出ている。ロドリゲス、マルティネスの後ろが固まったのは大きい。

-下馬評の高くなかった両チームの共通項は

山田氏 佐々岡、立浪両監督に我慢強さを感じるね。中日? 若手起用を貫いているところなど、立浪監督の性格が出ている。厳しいといわれるが、結果だけでベンチに下げてるわけでもない。凡プレーとか、どうしてここで打てないんだといった内容に厳しい。おそらく手綱を締める、緩めるといったところは“星野流”をまねてるのかもしれないね(笑い)。

-巨人がいいスタートを切った

山田氏 巨人は予想した通り。巨人は大勢、赤星ら、広島、中日の上位3チームは新戦力が機能しているのが目立つ。それと外国人ね。

-ヤクルトに勝ち越して兆しが見えてきた阪神ですが

山田氏 ヤクルトの状態が芳しくなかったから、まだ「さぁ、いくぞ」という感じには見えなかった。昨季はマルテ、サンズ、佐藤輝ら打力でプレッシャーをかけることができた。後ろはスアレス。今年は相手から見て、戦いやすいチームになった。佐藤輝は昨季も前半から打っていたから変わらない。ロハスは1発の怖さはある。でも投手からすると攻めを間違わなければ大丈夫だろう。よそのチームと外国人の差がでている。

-なかなか投手陣もそろわない

山田氏 どこで先発ローテーションが固まってくるかだ。まずここをしっかりと崩さずにやっていける態勢を整えたい。湯浅も未知数だが、今のメンバーでは仕方がないのだろう。ここからは一にも二にも得点力を上げること。そしてどれだけ援護できるかだね。

-その打線は2番だった佐藤輝を3番にして上向きました

山田氏 佐藤輝の2番は近本と並べたいがための応急措置だったのだろう。クリーンアップのどこかを打たせたほうがいい。打順にしても、佐藤輝、大山の守備位置、梅野には攻守に粘りがないのが気がかりだが、坂本との併用も含めて、ベンチが動かせば、動かすほど、うまくいかなかったようにみえた。メンバーを固定しながら戦いたい。

【取材・構成=寺尾博和編集委員】

4月22日ヤクルト戦で、大山は左越えに先制2点本塁打を放つ
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