阪神にとっては、どっと疲れのでるような1敗になった。9回2死から大山の2点本塁打で同点に追いつき、その流れでひっくり返したかったが、そこからチームに勢いがつくことはなかった。

せっかく土壇場で追いついたのに、追い越せなかった。今シーズンの戦いをみていると、大味な勝ち方はするが、どうしても競り合いになるともろい。その粘りのなさが最下位につながっているようだ。

最終イニングの延長12回に勝ち越されたのは、ショート中野のエラーがきっかけになった。8番中山のゴロを一塁に悪送球するわけだが、大事な場面でミスをするのも守備のもろさといえるだろう。

決して巨人先発の戸郷は好調とは思わなかった。高めの甘い球もあったわけで、阪神各打者のバッティングは淡泊にみえた。そこにも、粘って、粘ってといった姿勢は伝わってこなかった。

またちょっと心配だったのは岩崎の投球だ。結果的に延長10回の1イニングを無失点で抑えたが、珍しくボールに抑えが利かず、バランスを欠いたピッチングで岩崎らしさが感じられなかった。

チームとしては、交流戦を前になんとか弾みをつけたかったから手痛い負けになった。反発力に乏しい状況が続いているが、ここはもっと粘り強く、踏ん張りながら戦い抜きたいものだ。(日刊スポーツ評論家)

阪神対巨人 12回表巨人無死、中山(右)の遊ゴロで遊撃手中野の送球がグラブからこぼれる一塁手陽川(撮影・上山淳一)
阪神対巨人 12回表巨人無死、中山(右)の遊ゴロで遊撃手中野の送球がグラブからこぼれる一塁手陽川(撮影・上山淳一)