静かな語り口から決意を感じた。1月22日、西武で打撃コーチや2軍監督を歴任した片平晋作さんが亡くなった。68歳だった。翌日、西武第2球場で浅村栄斗内野手(27)に話を聞いた。練習が一段落付いたところで声をかけたが、突然の質問にも丁寧に答えてくれた。

 「僕がプロに入った時、ファームの監督をされていたのですが、ずっと見てくれていました。ここまで成長できたのは片平さんのおかげでもあったので、残念です」。

 浅村の入団1年目09年まで、片平さんは2軍監督だった。高校を出たばかりの18歳を、片平監督は99試合で使った。その年の1軍デビューはかなわなかったが、片平さんが退団した翌年から、浅村は着実に主力への道を進んだ。片平さんの教えが「土台」にあるという。

 「『強く振れ』と、ずっと言われてました。それが今でも生きていると思います。ファームで試合に出してくれたことが、つながっています。感謝しかありません」。

 解説で球場を訪れた片平さんと顔を合わすことも多かった。その度に「体、大丈夫か?」、「今が頑張り時だぞ」と、優しく声をかけてくれたという。プロ10年目を迎えるが、まだ優勝経験はない。入団前年の08年が西武最後の優勝だからだ。「優勝しかありません」と、話を締めくくった。恩師に最高の報告をする。【西武担当 古川真弥】