ツイッターなどで応援する虎党の中にメディアに対して“不満”のある人たちがいるそうだ。ABCテレビが「あかん優勝してまう」、MBSは「コレ、あるんちゃう」などと優勝を目指す阪神について関西ノリのキャッチフレーズで特集を組んだりしている。そうやって盛り上げようとするのに反比例して、チームが失速している、調子に乗るからあかんのや、ということらしい。

なるほど。報道や番組の企画がチームの勝敗にどこまで影響するのかは別にして、確かに浮かれ過ぎるのは他者から見ていて、あまり気持ちのいいものではないし、当事者の1人として反省するところかも。

メディアの話だけではない。チーム内にもそんな部分があるのかもしれない。戦っている現場ではなく後方支援とも言うべき営業、販売部門の話だ。

セットアッパーとして開幕から活躍していた左腕・岩崎優がインタビューで「0点で抑えることができてよかったです」と決まり文句のように言うのを受け、そのコピーをつけたタオルを5月18日に発売した。

すると開幕から5月16日巨人戦(東京ドーム)まで21試合に登板し、わずか2失点、防御率0・93の安定ぶりだった岩崎に変化が生じる。同25日ロッテ戦(甲子園)で3失点し、今季初黒星を喫すると打たれることが増え、ここまで3敗。一時は登録抹消まで。

現在は調子を戻してきているが防御率は3・18。タオル発売前に比べれば…というところだ。もちろん疲労もあるし、岩崎でもずっと抑えることはできない。タオルは関係ないと思う。だが営業関係者からは「ああいうのは、やっぱりあかんということですかね…」と反省する声も聞いた。

浮かれるのはよくない。落ち込むのも同じだ。巨人が負け、首位は守ったが苦しくなっているのは事実。だが同時に貯金は「16」あり、まだまだ優勝を狙える位置にいるはず。好調なときばかりではないが逆も然り。浮上する可能性は、もちろん、残されている。

まず、やるべきことをしっかりやることだ。惜敗の広島戦、指揮官・矢野燿大は打線不振の中、早めの継投で勝負に出たと思う。あえて言えば6回の熊谷敬宥、9回の植田海と代走を出したのなら盗塁で勝負してほしかった。好調なときはそういう大胆さがあったはず。失速で自分のスタイルを変えてはいけないと思う。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)