第88回選抜高校野球(20日開幕、甲子園)に21世紀枠で出場する釜石(岩手)が16日、午前中に甲子園練習を行った。与えられた30分間をすべて守備練習に費やしたが、緊張でガチガチの釜石ナインはエラーを連発。午後からは約2時間、尼崎市内で守備練習を行った。21日の小豆島(香川)戦に向けて、残り2つの練習試合で調整を続ける。

 ホロ苦の初甲子園だった。佐々木偉彦監督(32)が勢いよく放つノックに、釜石ナインが反応できない。お手玉に始まり、落球に暴投。極度の緊張にのまれ、エラーを連発した。奥村颯吾内野手(3年)は「広くて、いつもと違うように感じた。早く対応しないと」と、あっという間に終わった30分間を振り返った。

 空回りする野手陣を尻目に、強心臓のエース岩間大投手(3年)は甲子園を楽しむ余裕があった。終了約5分前から投球を開始し、マウンドの感触を確かめた。「投げやすかった。あそこに立っただけでも楽しかった。投げればもっと楽しいと思う」。今でも痛む右肘と相談しながら、投球回数を伸ばし前日15日には9回初完投。「アドレナリンが絶対出ると思う。ピークを小豆島戦に持って行く」と初戦を見据えた。

 佐々木監督にとっても初の聖地だった。「自分は落ち着いてたが、生徒はここまで緊張するかっていうぐらいの顔をしてた。初めて見ました」。前日15日に選手間で甲子園練習のメニューを決め、最後は通常練習と同じく校歌熱唱で締める予定だった。「歌おうと思ったけど時間がなかった。ギリギリで動いて、思ったより時間がかかってしまった」と苦笑いした。

 現在は対外試合8連敗中で、浮き上がった課題の守備面を修正して臨む。佐々木監督は不敵な笑みを浮かべた。「これからゲキを飛ばしていきます。直前にしか動かない気質ですから」。初戦まであと4日。歌えなかった校歌は、本番にとっておく。【高橋洋平】