大阪王者の貫禄を見せた。履正社(大阪)が関東第一(東東京)に4戦連続2桁安打の強打で逆転勝利した。夏初の4強で、明石商との近畿対決に臨む。

3点のビハインドをものともしなかった。3ランで先制された直後の1回裏2死三塁。4番井上広大(3年)が中前適時打で反撃のノロシを上げた。「焦りはなかった。自分たちの野球をしていれば大丈夫だと思った」。5回に勝ち越しに成功すると、主砲が試合を決定づける一打を放った。6回2死満塁で走者一掃の適時二塁打。「初球から振っていけば、結果が出ると思った」。2安打4打点と勝負強さを発揮した。

間近に見てきた背中がある。ロッテ安田は2学年上の先輩。「必ずランナーをかえしていましたし、毎試合ホームランを打っていたイメージがあります」。安田の言葉は今も胸に刻んでいる。「ホームランバッターになりたいなら、逆方向に打てるようになれ」。井上は中堅から右への打球にこだわって練習を重ねてきた。バットを振るだけではない。入学時から両手の親指を立て、縦横上下に約6分間動かすビジョントレーニングで動体視力などを向上してきた。甲子園での試合前も時間があれば積極的に取り組む。入念な準備が活躍の下地になっている。

井上は今大会4戦で計11打点。中村奨成(現広島)が17年に記録した個人最多17打点まで、あと6。「チームが勝ってくれればそれでいいです」と個人のことは頭にない。準決勝はセンバツ4強の明石商(兵庫)が相手。「細かなバントを決めて点を取る。中森君は2年生。負けたら情けないので、打ち崩せたら」と好投手攻略に意気込んだ。昨年は大阪桐蔭の春夏連覇で沸いた。令和元年は履正社が頂点を狙う。【望月千草】