昨夏8強の湯沢翔北が、同4強のライバル角館を7-0の8回コールドで圧倒した。最速140キロ右腕の斉藤要投手(3年)が127球を投げ抜き完封。打っては5番大日向廉外野手(3年)が好機で適時打2本を放った。投打ががっちりとかみ合う好内容で今夏1勝を挙げた。18年夏の甲子園で「カナノウ旋風」を巻き起こした金足農は、第2シードのノースアジア大明桜の前に初戦敗退を喫した。

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湯沢翔北は初回から主導権を握った。併殺崩れで先制し、バッテリーエラーで追加点。さらに大日向が適時二塁打で続いた。「とにかく要(斉藤)を援護したくてつなぐ意識だった」と内角直球を左翼線に運んだ。「自分の中では第1打席は一番大事。結果次第では考えすぎてしまうので、どんな形でも出塁したかったし、中軸としてチームに勢いを与えたかった」。持ち味の勝負強さを発揮した。

3-0の3回にもスライダーに食らいついて右前適時打。「崩されたがしっかり振り抜けた」。大日向は昨夏もベンチ入り。3回戦の大館桂桜戦では代打本塁打で勝利に貢献。しかし、続く準々決勝の角館戦は1点差で競り負け、先輩たちの夏は終わった。「その敗戦はいい意味で自分たちを強くしてくれた」。昨秋も角館に敗れたが、最高の舞台でリベンジに成功した。

先発の斉藤はスライダーとスプリットを軸にバットの芯を外し、打たせて取る投球で相手打線を封じた。「背中に痛みがありベストの状態ではなかったが、いいコンビネーションで投げられた。変化球主体でコースを投げ分けられた」。1四球のみと制球は安定。「自分たちを強くしてくれる角館は、なくてはならないライバル。倒せて良かった」と充実の表情で語った。

昨秋、138キロだった直球は下半身強化と「下から投げるイメージ」を意識し140キロに到達。体重も当時から6キロ増えた。斉藤は「夏のうちに145キロを目指す」と大きな目標を掲げる。投打充実の湯沢翔北がダークホースとして今夏を盛り上げる。【山田愛斗】