日本高野連は18日、大阪市内で理事会を開催し、反発力を抑えた新基準の金属バット導入を決定した。2年間の移行期間を経て、24年春(第96回センバツ、都道府県春季大会)から適用される。
前東大野球部監督で、学習塾Ai西武学院の塾長を務める浜田一志氏(東大工学系研究科修士課程修了)は、専門的視点から新金属バットを解説。高校野球の技術向上を期待した。
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新基準で打球の初速が3・6%減少されるとは、フェンスギリギリの本塁打を100メートルとすると5メートル手前に落ちる、とイメージすればいいでしょう。
ここで重要なことは、バットが肉厚になること。弾力性がなくなることで、ボールとバットの接触時間が短くなる。ボールにスピンがかかりにくくなるわけです。スピンはバットとボールの摩擦から生まれますからね。スピンがかからず失速してしまう。たとえば、弾丸ライナーでセンターの頭上を越える、という打球が減るわけです。
簡単に言えば、長距離打者は打球の角度を上げ、遠くに飛ばせばいい。でも、ミートが得意な打者への影響は大きいでしょう。スピンがかけられない分、野手の間を抜く鋭い打球が減る。肉厚にするとバットは重くなる。重くしないためには、バットを細くするしかありません。逆に言えば、細くなってミートが難しくなるため、これからは選手の技術、目が鍛えられる。木製バットでも通用する好打者が出てくるのではないでしょうか。
では、打者はこれからどういった練習をすればいいのか。バットが肉厚になるとバットを振るのが大変になります。筋力だけでなく、体全体を使い、柔軟性で振る力が必要になる。これからは、可動域を広げるトレーニングが重要性を増していくでしょう。
ただ、有利な戦術があるとすれば、反発が減る分、バントや細かい戦術が生きてきます。もちろん、小技も大事な技術ですが、そればかりになってしまうことも、懸念されます。
これは私の個人的な意見ですが、飛ばなくなったからといって、バント中心の戦術を立てるのではなく、新しいバットに対応して、よりミートする技術、飛ばす力を持った選手を育成してほしい。投手のための新基準ではありますが、より技術の高い打者を育てる、いいきっかけになると信じています。

