バドミントン男子部監督の部員への暴力行為が発覚した長崎市の私立瓊浦(けいほ)において、野球部でも監督らによる暴力や暴言があったことが15日、同校への取材で分かった。

元阪神投手の下柳剛(54)らを輩出し、春夏通算3度の甲子園出場を誇る名門野球部でも暴力行為が行われていた。今年5下旬から6月上旬頃、部員と保護者から学校に「監督が常に怒っている雰囲気で、野球が伸び伸びできない」、「練習時間が長く睡眠時間が削られる」など運営面の苦情があった。

そこで、7月下旬から部員と保護者全員にアンケート調査が実施されたところ、その中で監督の1年生に対するほおの平手打ちやミスへの激しい叱責(しっせき)、コーチの1年生に対する乳首や脇腹をつねる行為などが発覚した。

事態を重く見た学校側は、前監督を8月下旬から副部長にして、部長を新監督に昇格させた。前監督の処遇については解任せず、佐藤一司教頭(61)は「1年半は監督をさせない。その間、言葉の使い方や指導の仕方を勉強してもらう」とした。前監督は同校野球部OBで、19年4月に教員として採用され、副部長から昨年1月に監督に就任していた。一方で、コーチは解任されたが、事務職員として勤務している。

今年4月には40人いた部員は一部の生徒が野球環境になじめないなどで退部して、36人に減った。

対応も後手に回った。県高野連への報告は今月13日。遅れた理由については、佐藤教頭は「(野球部の)環境を整えてからと思っていたので後回しになった。(報告を)忘れていた」と説明した。県高野連へは、今月内に正式な報告書を提出予定で、その後の日本高野連の判断を待つ。

ただ、今回の暴力問題。学校側が年1回の全生徒・職員への体罰実態調査や、職員のハラスメント研修を3回行ったが防げなかった。抑止力にはならず、佐藤教頭は「私が記憶する限り、調査で(いじめや体罰は)出ていなかった。その辺はあぐらをかいていた。弁解の余地はなく、反省するしかない」と猛省した。