横浜・峯大翔内野手(3年)は試合中、黄色いメガホンを持っていた。

8番二塁でスタメン出場した。しかし3回の第1打席、右肘から腕にかけてのあたりに死球を受け、打席でうずくまった。そのまま途中交代になり、包帯を巻いてベンチに戻った。患部の詳しい診断はこれからになる。

ベンチに戻った峯の表情は明るかった。村田浩明監督(37)の隣でナインを鼓舞した。代わって内野に入った後輩に守備のアドバイスもする。5回裏を終え、包帯を巻いていない左手でヘルメットをベンチに並べ始めた。ベンチ入りしている1年生たちに呼びかける。「試合出てないやつが道具を整理整頓しようぜ。出てる選手たちが準備しやすいように」と促した。

守備中も最前列で声を出しながら、気付けばふと後ろに下がっている。次のイニング、最初の打者が投手だった。ヘルメットとバットをそろえ、打席前に飲めるように水も持って行く。最初から誰かに指示するわけでなく、まずは自分で行動し、後輩たちに気付かせる。

逆転はならなかったが、そうできる環境を最大限に高めていた。「ああなってプレーできない分、声とかでチームに貢献したくて。監督にも試合前に『相模とは気迫の勝負だ』って言われてたので、それなら自分が先頭に立ってやろうと思いました」。

横浜はこの春、5人の1年生がベンチに入った。入学早々のベンチ入りは、彼らが“スーパー高校生”だった証し。ただ、この先は野球がうまいだけでは勝てない。峯の姿勢や教えが1年生に植え付けたものは、これからの横浜にとって大きかった。【金子真仁】