滝川が10-0の5回コールドで深川西・滝川工・芦別を下し、初戦を突破した。滝川の5番・富沢泰雅(たいが)外野手(3年)が4打数4安打3打点と活躍。1994年夏に、砂川北の2番打者として甲子園に出場し、右越えソロ本塁打を放った父直樹さん(47)譲りの打棒で、大勝に貢献した。

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春初戦から、富沢泰の父譲りの血が騒いだ。2回は先頭打者として二塁内野安打で出塁し、先制のホームを踏むと、3回2死一、二塁の第2打席は、右翼線を抜く2点適時三塁打。続く打席で右前打を放つと、9-0で迎えた5回の第4打席は、中前への打球が適時二塁打になり、コールドで試合が終わった。仕事を完璧にこなした5番打者は「父に言われた通り、リラックスして打席に入りました」と笑顔で振り返った。

砂川中央小2年の時に「たぶん(父に)やらされて」野球を始めた。チームの練習以外にも自宅の庭で、嫌になるほど打撃指導を受けた。そんな厳しい父が、甲子園の右翼ポール際にホームランを打ち込む姿を動画で見た瞬間に、尊敬と憧れの思いが込み上げた。「父と同じ公立高校で頑張りたい」と、双子の兄悠雅(ゆうが)内野手(3年)と2人そろって滝川に進学した。

昨秋の空知地区1回戦でクラークに7回コールドで敗れ、甲子園出場のチャンスが残り1回となった時、砂川の明円グループ野球クラブの監督を務める父から声がかかった。今冬は高校の練習後、兄と2人で同クラブの室内練習場に週2、3度通ってスイングを改善。富沢泰は「リラックスして構えるのと、ボールを当てる瞬間に力を入れることを教えてもらった」という。

チームが目標とする“打倒クラーク”と“北大会ベスト4”のほかに、富沢泰には野望がある。低反発バットで甲子園にアーチをかけ、父を超えたい。「憧れますね」。夢を正夢にする日まで、全力でバットを振り続ける。【中島洋尚】