足でもぎ取った大きな白星だった。1点を追う8回に阪神和田豊監督(52)が攻めダルマと化した。先頭新井が中前打で出塁すると、すかさず代走大和を起用。ここから2番手又吉に対し、したたかな攻撃を見せた。打席の西岡がバントの構えを見せ、又吉も3度立て続けに一塁へけん制球を投げる。明らかに俊足の大和を意識していた。打者に集中できない。1ボールになった直後だ。今度は西岡が打席を外して関川打撃コーチから耳打ちの指示を受ける。構えはヒッティングへ。再び又吉がけん制を入れた直後だった。ボール球に大和が敢然とダッシュ。刺されていれば一気に敗戦へと傾くワンプレーで二塁を陥れた。
西岡の同点打を呼び込む今季初盗塁だった。大和は「走るしかなかった。(けん制3球目に)逆を突かれたのは想定外。どっちか悩むところでしたけど。気持ちで走りました」と振り返る。足にスランプはないとよく言われるが、それは違う。昨季11盗塁を記録した男もここまで盗塁なし。勇気を振り絞って1歩目を刻み、勝ちに結びつけた。
指揮官も攻めに攻めた。同点に追いついた直後の無死一、三塁。鳥谷への初球に一塁走者の上本が仕掛ける。捕球した松井雅は本盗警戒で三塁走者西岡をチラ見して送球が遅れる。一瞬のスキを突いて二塁に達した。足攻めで勢いをもたらし、逆転に成功。和田監督は「8回に関しては出た選手がやって欲しい仕事をしっかりやってくれた結果」とたたえた。鮮やかな攻撃が3連勝以上の好ムードをもたらした。【酒井俊作】



