激闘疲れで真っ先にベッドへと向かった。阪神の守護神呉昇桓投手(32)だ。ナイター後、普段は大阪市内の夜景を一望できる自宅のリビングでリラックスするが、前夜は違う。2イニングを投げた28日楽天戦は4時間44分のロングゲーム。さすがの鉄腕も「昨日は帰ってすぐに寝たよ。いつもはゆったりするけどね」と笑う。この日は大阪から埼玉に移動して試合だ。まさに快眠がもたらした快投だった。

 9回、マウンドに上がるとき、スコアボードを見つめた。「1-0」は守護神がもっとも奮い立つ戦況だろう。敵は手ごわい。自慢の石直球をズドンズドンと藤井のミットに収める。まずは昨季本塁打王のメヒアと向き合う。追い込んでから内角高めに147キロを投げ込み、空を切らせた。今季9本塁打の森も空振り三振。外角直球に完全に振り遅れていた。本来のキレを取り戻しつつある証拠だ。

 豪快な3者連続空振り三振で今季14セーブ目。「1-0で締めくくれて、いい流れで来ている。感覚的にいい感じ。もっと上げていきたい」。1週間前のDeNA戦は発熱で試合に参戦できなかったが、炎の3連投ですっかり全快だ。母国韓国のソウル市内では自身の伝記「瞬間を支配せよ」(アン・ジュンチョル著)が発売中。まさにタイトル通りに、敵地で一瞬を操ってみせた。【酒井俊作】