日本ハム吉川光夫投手(27)が、12年9月28日西武戦以来となる、3シーズンぶりの完投勝利を飾った。DeNA2回戦で9回105球を投げ、6安打2失点で6勝目をマークした。早打ちのDeNA打線を相手に真っ向から勝負し、序盤は隠していたチェンジアップ、フォークを中盤以降に解禁する配球も効果的だった。

 ファイティングポーズを崩さなかった。9回2死一、三塁。吉川は代打・井手に内角球を続けた。「しっかりと打者と勝負できた」。落下してくる白球が、中島のグラブに収まって初めて、表情を崩した。「ホントにうれしいです。今日は絶対に最後まで投げきるんだ、と思った」。9回6安打2失点で、3シーズンぶりの完投勝利。登板過多の救援陣を休ませ、チームを首位に引き上げた。

 9回を投げきるための、綿密なプランを遂行した。3回まではすべて三者凡退。直球を中心に、早打ちのDeNA打線に逃げずに立ち向かった。31球を投じ、チェンジアップ、フォークの縦の変化球は1球もなかった。「落ちるボールを最後まで隠していけた」。ロペス、バルディリスに連打を浴びた5回無死一、三塁のピンチ。宮崎を相手に、初めてチェンジアップを選択した。とまどう相手打線を翻弄(ほんろう)。この回を無失点で切り抜け、完投ペースは加速した。

 5月8日オリックス戦を最後に、勝ち星から見放され続けた。1カ月も白星がなかった6月上旬の広島遠征、後輩・有原を伴って、母校・広陵の中井監督の元を訪れた。「ちゃんとやっとんのか」。甲子園を、プロを目指した青春時代。あのときと同じ“愛のムチ”に、気持ちは原点へと帰った。マウンドに向かう、活力になった。

 ウイニングボールを長男にプレゼントし、2人の息子の手を引いて球場を後にした。「次の試合でも完投できるように準備したい」。格好いいパパは、チームでも欠かせない大黒柱だ。【本間翼】