広島梵英心内野手(34)が24日、連勝が止まった阪神戦で意地の1発を放った。6点を追う5回に能見の直球を左翼席へ、5月29日オリックス戦以来の4号ソロ。前日23日は5時間を超える試合をしながら、この日の朝には若手とともに富山へ移動。開幕から続ける早出練習が実を結んだ。敗戦の中での1発を復活のきっかけにする。
着弾を見届けても、表情を変えなかった。ダイヤモンドを回るスピードも緩めない。6点を追った5回。2試合連続スタメンの梵が、そこまで抑え込まれていた阪神能見の直球をたたいた。この日の第1打席まで10打席連続無安打。思いをバットにぶつけた打球は富山の夜空を切り裂き、左翼席へ。5月29日オリックス戦以来の4号ソロは、ベテランの意地だった。
前夜、広島は5時間を超える試合を戦った。宿舎に戻る頃には日付が変わり、選手が眠りに就いたのは午前1時過ぎ。しかし梵は同9時21分。長野発の北陸新幹線「はくたか」に乗っていた。この日の富山での阪神戦は広島主催試合で、若手2選手に早出練習が課せられた。そこに梵も直訴して同乗。午後1時過ぎにはグラウンドに立っていた。
「早出なんてそんな格好いいものではない」と否定するが、ハンドリングの練習からノックを受けるなど精力的に汗を流した。その後は日課となった自身の打撃映像の確認。パソコンモニターと向き合った。「自分の中で感覚が良くても結果がすべて。結果が出るようにやり続けないといけない」。本拠地の試合では誰よりも早く球場入りする。相手先発が右投手のときにはスタメンから外れる試合が増えたが、自主的に練習量を増やし、コンディションを整えてきた。新井のように、言動で引っ張るタイプではない。プレーで引っ張るタイプだからこそ、自身の現状がもどかしい。
意地の1発も、チームの連勝は止まった。「個人的に1本出たのは良かったけど…」と笑顔はない。それでも「出続けることで信頼は得られると思う。それは自分でやらないといけない」と言い切る。富山で沈黙した打線の中、寡黙な男がバットで存在感を示した。【前原淳】



