簡単には倒れないから、阪神能見は柱と言われる。2戦連続5失点、リーグワースト9敗を喫して背水だった能見篤史投手(36)が鮮やかに復調した。7回を1失点で、10敗を回避して6勝目。変身のカギは、赤ヘルのバットに空を切らせたチェンジアップ。得意の変化球でチェンジしたって、ドゥーユーノーミー?
左の大黒柱が踏ん張った。能見が3者凡退に抑えたのは3回のみ。打たれても、走者を背負っても、虎投の柱は崩れなかった。
「うまいこと緩急は使えました。抑えていないから勝ち星がついてこない。こういう投球をしていかないと。(後半戦に)つなげていかないとと思います」
7月に入り2試合連続で5失点を喫した。首脳陣には最後通告まで突きつけられ、これで負ければ両リーグ最速10敗目という背水のマウンド。130キロ台と110キロ台の2種類のチェンジアップを使い分け、凡打の山を築いた。7回に味方のミスもあり1点を失って降板したが、6回まで4安打無失点。6月24日広島戦以来の6勝目を挙げた。
背水でも、コイキラーぶりを発揮。広島相手に3勝目を挙げた。不思議な相性に「そうでもない。たまたまなのか、何なのか」と笑った。和田豊監督(52)は「すごく調子が良いということではないと思うが、チェンジアップの抜けが非常に良かった。あとは配球とコントロールで何とかしのいだ」と評価。中西投手コーチは「相性の良さやろうな。自信を持って投げていたように感じる」とうなずいた。
能見は時に、プロだけではなく県岐阜商の152キロ右腕・高橋純平らドラフト候補として注目される高校生の投球を研究することもある。「球速ではなく、どこで力を入れて抑えるのか、どこで抜いているのかというのを見ているんだよ」。プロの打者の映像を見て対策を立てるのはもちろんだが、いい投手をくまなくチェックする姿勢。球種も把握し、成績も頭に入っているという。プロ11年目を迎えた36歳は今も、勉強を怠らない。対象はベテランも若手も関係ない。「プレッシャーは(マウンドに)上がる度に感じるよ」。勝負の世界で生き残るために上を目指していくだけだ。
次回登板は中7日で22日巨人戦(甲子園)の登板が濃厚となった。先発4本柱のベテラン左腕が、土壇場で踏みとどまった。【宮崎えり子】



