巨人が今週3度目のサヨナラ勝ちで、指定席の首位に戻った。準備が整わないうちに会見場に現れた原辰徳監督(57)は「早かった?」と笑わせてから「興奮できる試合。いい風が吹いてる。全員の力を結集して、果敢に攻めてくれている」と、5連勝の心地よいフォローを感じた。
風を吹かせたのは原監督だった。「2点ビハインド。ウチの全パワーを出そう」。9回。中日福谷に対し堂上、高橋由、立岡と、これでもかと代打攻勢をかけた。高橋由が自信を持って四球を選ぶと代走に吉川。立岡が教則通りに中前打でつなぐと、相手の抑えは余裕をなくし、顔から血の気が引いていった。橋本もフルカウントから四球を選んで塁上を俊足で埋め、実力者へのお膳立ては完了した。
攻めダルマの9回裏にひっそり隠れている、妙手を見逃してはいけない。9回表1死一塁、打者藤井。カウント2-2の5球目だ。静かにウエストのサインを出し、相手の盗塁を阻止した。「2点リードは相手が動きやすい。仕掛けてくると思った。こっちにも(フルカウントになる)リスクはあるが」。3人で攻撃を終え風向きを変えた。「根拠はない」と言ったウエストは、原監督が“ココイチ”で繰り出す一手。勝負勘が支える、実にしたたかな裏打ちだった。
大胆と繊細が同居する。「もちろん、明日がさらに大事になる」。お決まりとなったフレーズとともに、得意の8月を疾走する。【宮下敬至】



