サマー・ダッシュの1歩目だ。阪神藤浪晋太郎投手(21)がみかん氷がおいしい横浜スタジアムで9勝目を挙げ、投手2冠に立った。1回に2失点で逆転を許す苦しいマウンドで踏ん張り7回まで投げきった。10三振を上乗せした145奪三振と勝利数でリーグトップ。チーム100試合目で単独首位に押し上げる51勝目をもたらした。
苦しみながらも、単独首位を引き寄せた。横浜のマウンド上では何度も腕の振りを確認する藤浪がいた。4回1死から投手高橋にストレートの四球を与えると、左太ももをグラブで強くたたいた。フラストレーションはたまったが、それでも崩れない強さを見せた。
「修正とも言えない。自分の納得がいっているのも7回だけ。鶴岡さんのリードや野手の方に助けていただきました」
直球がストライクゾーンに収まらなかった。1回に早々と援護をもらうが、直後に逆転を許した。「トップの位置、バランス、リリースポイント、全体的にうまくかみ合わなかった」と制球に苦しみ、カットボールなど変化球を中心にDeNA打線をかわした。2回に再びリードをもらうと、もう1点も許さなかった。今季DeNA戦4戦4勝とキラーぶりを発揮。鶴岡は「同じことを繰り返さないようにしていた。初回に2点を取られてね。調子悪い時に抑えられるのがエースだとも言ってきたから」。和田監督も「悪いなら悪いなりに投げられるレベルになってきた」と確かな成長を感じていた。
前回登板の7月31日ヤクルト戦は右太もも裏がつりかけるという初めての経験をした。誰よりも水分補給には心がけているはずだった。登板中は体を冷やすことを嫌い、ベンチ内の扇風機の風に当たることも避ける。その分、水分の摂取で体温をコントロールしていた。ベンチに戻ってくると、スポーツドリンクと水を手に取る。イニング間で500ミリリットルのペットボトル1本分は必ず飲み干す。1試合で他の投手の2倍となる10本、計5リットルを消費。それでも暑さにやられた。
失敗は繰り返さない。アクシデントに見舞われ「話にならない」と言葉にした21歳は炎天下、頭から足の先まで汗だくになった。メッセンジャーの間隔を詰めたことで中7日となったこの調整では、発汗を意識した。もともと、顔から汗がかけないタイプ。ランニングメニューを中心に新陳代謝をあげた。
7回6安打2失点。ハーラートップタイの9勝目に、今季7度目の2桁奪三振の10K。リーグトップを独走する奪三振は145を数え2冠に立った。3連敗の巨人をかわし、7月31日以来、8日ぶりの首位奪還。「単独首位と言っても、ゲーム差もそんなにないですし、油断できる状況じゃないので、目の前の1試合1試合頑張りたいと思います」。暑い8月に入って初白星。21歳はここから加速する。【宮崎えり子】
▼阪神の首位は、7月31日以来8日ぶり。シーズン100試合目時点の首位は、08年8月13日以来7年ぶり。なお「シーズン100試合目に、2位に0・5差で首位」は、日本一となった1985年の9月4日(55勝40敗5分けで勝率5割7分9厘。2位広島)と同じ。
▼藤浪がプロ通算30勝目。ドラフト制後(66年以降)、高卒投手の30勝到達は松坂(西武)ら3人の2年目が最速で、3年目以内は07年入団の田中(楽天)以来10人目。
▼今季9勝は広島前田、中日大野に並びリーグトップ。奪三振もトップで、01年松坂(西武)以来となる高卒3年目以内の最多勝、最多奪三振の2冠を狙える。なお阪神の投手がこの2タイトルを同時に取れば、村山実(65、66年)、江夏豊(68年)、メッセンジャー(14年)に次ぎ4人目、5度目となる。
▼藤浪はDeNA戦で7月5日(横浜)、同24日(甲子園)に続き2桁奪三振。同一カード3試合連続は自身初となった。



