信じられないアクシデントが起きた。世界最年長勝利を目指して今季初登板した中日山本昌投手(49)が2回途中、わずか22球で負傷降板した。初回に1失点し、2回先頭の大引に3連続ボールを投げたところで異変を訴えた。左手人さし指の突き指で、程度はまだ分からず全治も不明。今日10日に出場選手登録を抹消される。
「ええ~!」。投手交代のアナウンスに場内は悲鳴とため息であふれた。
初回、5番雄平への初球のカーブが抜けた際に、左手を体のどこかに当てたようだという。長い野球人生で初めてという、信じられないアクシデントだった。
「チームに迷惑をかけて、何しに来たんだという感じですね。消耗戦にしてしまって申し訳ないです。こういう舞台を用意してもらったのに恥ずかしい。試合中にあれだけ痛みがあったので何日間かは投げられないと思う」
治療後はベンチの最前列に座り、最後まで声を出した。必死の応援は届かず、チームは延長の末に敗れた。落胆した様子で球場を後にした。
ショックは大きいはずだ。今年はキャンプを絶好調で過ごしたが、3月の教育リーグで右膝を負傷。先の見えないリハビリを続け、ようやくつかんだ1軍登板だった。注目の試合は3万7634人を集めた。前日の予告先発発表と同時に前売チケットは完売した。敵味方関係のない注目と大歓声を受けた。
夫人によると2日前から緊張の度を高めており、32年目の219勝左腕でも未知の感覚があったのかもしれない。故障した際の相手打者は覚えているが「どこにぶつけたか分からない」と話した通り、夢中だったようだ。友利投手コーチは「本人にしか状況は分からない。僕もファンも肩透かし。残念としか言いようがない」と話した。
先頭の比屋根は外角に落ちるシンカーで空振りを奪い3球三振と上々のスタート。だが2番川端にはストレートの四球。山田に安打を浴び、暴投で1死二、三塁としたあと、畠山に右犠飛を打たれた。
49歳363日で白星を挙げれば、ジェイミー・モイヤー(元ロッキーズ)の49歳180日を抜く最年長勝利の世界記録だった。まだ大記録への挑戦権は残されているとはいえ、明日11日に50歳になるレジェンドがまた試練に見舞われた。【柏原誠】
▼49歳11カ月の山本昌が今季初登板。49歳シーズンに出場は50年浜崎(阪急)と14年山本昌がいたが、50歳シーズンの出場は初めてで、自身の持つ出場、登板、先発の最年長記録を更新。1軍に出場した実働年数は29年(86~10、12~15年)となり、82~10年工藤(西武)のプロ野球記録に並んだ。山本昌は86、87年を除いて先発登板しており、先発登板した年数は工藤の26年を抜いた。



