東京ドームで吹かないはずの風を読んだ。巨人原辰徳監督(57)が、劣勢のゲーム展開を巧みに操りDeNAに勝利。首位阪神、ヤクルトとのゲーム差を1に詰めた。先発高木勇を2回途中であきらめ、積極的な継投を展開。攻撃は強攻策を貫いた。1点を追う5回は岡本和真内野手(19)を代打に起用。ルーキーは本拠地初安打で応え好機を拡大し、ひっくり返した。追い風に乗せて4連覇する。
原監督が風を読んだ。2回、DeNA先発の砂田が適時打を放つと、即座にいすを離れた。三塁側に流れかけた、よどんだ空気を感じた。高木勇は1週前もKOされていた。「相手が心地よくやっている。風を変えたい」。先発を35球であきらめ、高木京にスイッチした。「アクシデントでもない限りは(2回から継投は)ない」。風向きを変える挑戦が始まった。
サウスポーが荒波を三振に抑え、2死一、三塁を脱出する。加藤が緩いカーブを大胆に要求する。先頭だけは出塁させない。5回まで、47球のロングリリーフが決まる。1点差のまま、ぴたりと風が止まった。畳み掛ける最初のタイミングが来た。「9番、高木京介に代わりまして、バッター、岡本」。5回無死一塁でカードを切った。
誰より大きな声援で送り出されたドラ1。砂田はプロ1号の相手だった。低重心のまま動かない。3球目。沈む外角を長いレベルスイングで射抜き中前へ。東京ドーム初安打で「非常に、風を変えた。全体の空気を変えた。変わった」。立岡も安打で続いて無死満塁。キャプテン坂本の犠飛で追い付いた。
守りながら攻める。得意の戦術を駆使した。6回の先頭は筒香。肝っ玉の変則左腕・戸根を当てた。3者連続空振り三振。熱風が一塁側に吹いた。裏の攻撃で決めにかかった。村田の11号ソロで勝ち越した直後、1死一塁で加藤。3球目にエンドランを指示した。顔近くのボール球に食い付いた。左前打で好機が拡大し、後は代打アンダーソンが仕留めるだけだった。
そよぐ逆風を察知し、フラットに戻し、追い風を利し、一気に沈めた。「若い3人が、ジャイアンツそのものの風を変えた」と、7回の田原誠を含めたリリーバーをねぎらった後、続けた。「リスクはあるが、流れを逆回転させたかった」。5回の岡本、続く立岡。6回の加藤。さらに加えるなら1回無死一塁の片岡。送りバントが想像できる場面で、原監督はことごとく強攻を選択し、風穴をあけていった。培ってきた勝負勘に絶対の自信がある。だんごレースは望むところ。風を読んでペナントをたなびかせる。【宮下敬至】



