プロの意地がある。阪神和田豊監督(53)が難敵サブマリンへの刺客に「2番今成」を送り込んだ。采配は初回から的中する。1死後、今成亮太内野手(27)が山中の外角121キロ直球を逆方向へ。左前への打球が猛攻の合図だ。福留の適時二塁打で先制のホームを踏み、幸先よく戦いの主導権を握った。
山中には今季2戦2敗で防御率0・69と抑えられていた。試合前、打撃コーチから指示が出ていた。「特に左打者はコンパクトに逆方向へ。とにかくファーストストライクから行けるように」。率先垂範した今成は2回も打つ。リードを4点に広げてなおも2死三塁。2ボールから浮いたスライダーを見逃さない。今度は引っ張る。矢のようなライナーで右前へ運び、貴重な加点適時打になった。苦戦した下手投げ右腕を2回途中でノックアウト。今成は13年以来、2年ぶりの4安打をマークし、2打点を稼いだ。思惑通りに兵が軽やかに踊り、和田監督は起用意図を明かす。
「クリーンアップの状態が上がってきている。その前に何とか塁に置いて、迎えさせたい。過去2回の反省を生かしてね。やっとつかまえられたな」
勝負の12連戦は下位のDeNAに連敗スタート。追い詰められて、甲子園で仕切り直しだ。前日19日DeNA戦で5打数無安打だった今成の上位起用が当たるなど、指揮官の勝負勘はさえた。敗戦なら自力優勝の可能性が消えていたが、久しぶりの完勝。それでも、和田監督は気を緩めない。
「(今季)切羽詰まってから、しのいで来られているけど、切羽詰まる前にガンと行けるように。今日はある意味、勢いがつく勝ち方ができた。明日の試合が非常に大事になってくる」
これで今季ヤクルト戦の勝ち越しを決めた。シーズン終了時に勝率、勝利数が並べば対戦成績で順位が決まる。和田阪神が瀬戸際の戦いで大きな白星を得た。【酒井俊作】



