ヤクルト真中満監督(44)に迷いはなかった。1点リードの8回。5番手のローガン・オンドルセク投手(30)が2死三塁とピンチを招いた。一打同点の場面で、打者は阿部。指揮官は「ちゅうちょしなかった」と守護神トニー・バーネット投手(31)を投入した。死球でピンチを広げたが、続く長野を空振り三振に仕留め、無失点で切り抜けた。9回も2死一、二塁と危機的状況を招いたが、立岡を空振りで何度もほえた。バーネットは「王者の巨人を前にアドレナリンのコントロールができなかった」と、しばらく興奮冷めやらなかった。
昨季は、12球団ワーストの救援防御率4・58をマークしたが、今年は2・64とリーグトップに浮上。今季から加入したオンドルセクの存在が大きかった。7回をオーランド・ロマン投手(36)、8回をオンドルセクがつなぎ、最後はバーネットが締める新方程式が確立した。一部ファンの間では、外国人トリオの頭文字を取り、「R(ロマン)、O(オンドルセク)、B(バーネット)」と、勝利を「強奪する」という「ROB」に重ねて話題となっている。
精神面でもバーネットが安定した。同じ英語を母国語とするオンドルセクが、よき理解者となっている。昨季は試合中に、スペイン語を母国語とするバレンティンと意思疎通がうまくいかずに乱闘騒ぎを起こしたこともあった。だが、今年はデーゲーム後は、オンドルセクの家族と都内でダブルデート。共通の趣味である米国ドラマ「イーストバウンド&ダウン」について感想を語ることもストレス発散になっているという。1歳になった長女マデリンちゃんも球場に訪れるようになり、「娘の前で格好悪い姿は見せられない」と笑った。
救援外国人トリオのあだ名について、バーネットは「ROBよりBROでいこうよ。兄弟って意味さ。でも、トニー(バーネット)と愉快な仲間たちでもいいかな」とおどけた。セ界最強の“兄弟”が14年ぶり優勝へ導く。【栗田尚樹】
▼昨年、ヤクルトの救援投手防御率は4・58でセ・リーグ最下位だったが、今季は2・64でリーグトップと劇的に改善した。救援敗戦は21から10と半減、逆にホールド数は66から100と前年比152%に伸びた。守護神バーネットはセーブ機会で失敗なしの39セーブ。新加入のオンドルセクは、1年目の外国人としてはセ初の30ホールドを達成。昨季はチーム最多ホールドが秋吉の19だったが、今季はロマンが23、秋吉が21と3人が20を超えている。



