阪神が来季新監督を金本知憲氏(47)に要請する最終調整に入ったことが28日、分かった。退任確実の和田監督の後任として岡田彰布氏(57)とともに候補に挙げていたが、金本氏を前提に要請準備に入った。ただ球団首脳によれば、最終的にクリアすべき段階が残っており、正式要請への動きは近日中に行われる電鉄、球団、両トップ会談を経た後になりそうだ。

 阪神の監督問題が決着へ近づいてきた。退任確実な和田監督の後任として金本氏、岡田氏が候補に挙がっていたが、この日までに金本氏に就任要請する方向で最終調整に入ったことが分かった。

 ただ、球団幹部が「まだ最終調整が残っている」と話すように金本監督に決定し、正式要請に向かうのはあくまで最終調整をクリアしてからだという。近日中に坂井オーナーと南球団社長が定例報告で話し合う“トップ会談”で電鉄本社、球団の意見調整を終えてからとなりそうだ。

 また、電鉄本社、球団内には05年に指揮官としてリーグ制覇を達成した岡田氏を推す声もあり、依然として候補だという。

 もっとも、球団幹部は新体制への移行について「なるべく早い方がいい」と語っており、最終調整をクリアすれば、シーズン終了後の和田監督退任発表を待ち、CS開幕までに3年契約を基本線に金本氏への要請、交渉に入ることも判明した。水面下では要請に対して受諾の手ごたえも得ているという。チームがCSに出場した場合でも、最後まで戦っている現場に配慮しながら、来季金本体制への準備を進めていく。

 金本氏は91年ドラフト4位で広島に入団した。02年オフにFAで阪神に移籍すると主砲として03年、05年のリーグ優勝に貢献した。1492試合連続フルイニング出場の世界記録を打ち立て「鉄人」と呼ばれた。野球に取り組むストイックな姿勢とプロ意識でチームメート、スタッフから尊敬を集めていた。

 4年目となった和田阪神は今季、歴史的な大混戦の中で8月上旬に首位に立つと、9月までその座を守っていた。ファンの期待は膨らんだが、今季最大の正念場となった9月18日からの12連戦でここまで3勝8敗と大失速。前日27日、広島に敗れて優勝が消滅していた。これで金本氏が4番を打っていた05年のリーグ制覇の後、10年間、優勝から遠ざかることになった。

 毎年繰り返される勝負どころでの弱さ、そして、外国人選手頼みのチーム体質から脱却して若手の底上げをはかるため、黄金時代に主砲として強烈なリーダーシップを発揮した「アニキ」に猛虎のかじ取り役を任せようとしている。金本阪神誕生へ。結論は間もなく出る。

 ◆金本知憲(かねもと・ともあき)1968年(昭43)4月3日生まれ、広島県出身。広陵-東北福祉大から91年ドラフト4位で広島に入団。03年から12年まで阪神。実働21年で通算2578試合出場、2539安打、打率2割8分5厘、476本塁打、1521打点。連続フルイニング出場1492試合(世界記録)、連続試合出場1766試合(歴代2位)。04年に打点王。95、00、01、04、05、06、08年にベストナイン外野手受賞。現役時180センチ、88キロ、右投げ左打ち。