ソフトバンクが走って、無敗ロードを継続した。8回に三塁走者の川島慶三内野手(32)が右飛のタッチアップで本塁に生還するなど、今季から採用される「コリジョン(衝突)ルール」を生かした積極的な走塁で、逆転勝ちに成功した。これで今季の対外試合は13戦負けなしだ。
川島のド派手なガッツポーズが、「足技」の持つ大きな意味を表していた。1点差に詰めた8回裏1死一、三塁。代打カニザレスが右翼に飛球を打ち上げた。ヤクルト上田が定位置から、本塁にワンバウンドの好返球。しかし今季から採用された「コリジョンルール」の影響で、捕手はベースをブロックできない。スタートを切った川島のヘッドスライディングが上回る。左手で同点のホームに触れた。
「ケガのリスクはあるけど、(頭から)行きやすくなっている。(ブロックで)膝で来られたら、手の骨折や脱臼がある。上田の送球は100点満点だった。去年ならアウトでしょう」
新ルールを味方につけ、走力で劣勢をはね返した。6回には柳田の痛烈な遊ゴロが相手の失策を誘い、二塁走者の真砂が俊足を発揮し、一気に生還した。三塁コーチの飯田外野守備走塁コーチは振り返る。「去年だったら、ブロックされて(川島は)アウトだろう。いい勉強になった試合だ。ヒット1本でかえってくる意識を持ってくれたら、より点が入る」。捕手との衝突の恐れがなくなるため、大胆なアプローチが可能になった。
もちろん、新ルールは両チームに平等だ。工藤監督は「守備の時にどう失点を防ぐか。選手も感じただろう」と守る側の立場から今回の走塁を見つめた。それでもソフトバンクには、間違いなく追い風だ。走塁のスペシャリストが多いだけでなく、レギュラー陣の意識も高い。持ち味の強打に加え、走力も武器に得点力はアップしそうだ。
この日も負けなかった。8回の攻撃は明石、カニザレスの代打攻勢が的中するなど途中出場組が奮闘した。選手層の厚さを見せつけ、オープン戦は8戦5勝3分け。今季の対外試合は13戦無敗だ。開幕1軍をかけて、投打ともに激しいアピール合戦が続く。ベンチ入り28人の絞り込みが容易ではない。指揮官も思わず悲鳴を上げ、報道陣に逆取材した。「みんなだったら、どうする? うれしい悩みだよ。ベンチに40人は入れられない。選手は集中力を持ってやっているから、締まったゲームにつながっている」。開幕まで残り7試合。無敗のまま、シーズン突入の可能性が出てきた。【田口真一郎】
▼オープン戦を無敗で終えたチームは、65年以降ではない。近年のソフトバンクでは14年、15勝2敗2分け、勝率8割8分2厘の好成績で勝率1位。このときは初戦から○●○●の後で2分けを挟み13連勝。今年はどこまで伸ばすか。



