ロッテからFA移籍した楽天の5番今江敏晃内野手(32)が、古巣ロッテ相手に4打数3安打、1打点の活躍で勝利に貢献した。移籍後初の適時打、初打点をマーク。4点目の適時打では三塁側ベンチ前のナインと「初BURN!」を決めた。チャンスに輝く堅守強打の男が、チームの連敗ストップと先発した美馬学投手(29)のプロ初完封をアシストした。

 移籍後最高の喜びが7回に訪れた。えんじ色のユニホームに身を包んだ今江が、一塁上で右手を空に突き出した。視線の先には三塁側ベンチの仲間たち。「初BURNですよ、初BURN!」と興奮を伝えた。

 2死二塁からロッテ益田の外角低めスライダーに食らいついた。見逃せばボールの球にバットを投げ出し、地をはうゴロで二塁手中村のグラブをはじいた。「無我夢中だったので、何を打ったのか分かりません。追加点がほしかったので必死でした」。試合を決める4点目に全身がしびれた。

 活躍こそが古巣への恩返しだった。前日29日の試合前練習。打撃ケージ裏からスタートしたロッテ関係者へのあいさつ回りは、一塁側ベンチから右翼、そして中堅、左翼と、気がつけば球場1周の大行脚となっていた。礼節を大事にする真面目な性格。楽天秋田トレーナーは「ずっと前から楽天にいたみたい。すごくとけ込んでいます」と笑った。

 新本拠地のコボスタ宮城で挑んだソフトバンクとの開幕3連戦では、球場入り後の風呂が毎日のルーティンだった。愛用する3枚刃のT字カミソリで、チームの規則に合わせてヒゲをそる。身も心も「楽天今江」に整えて試合に臨んだ。

 3安打猛打賞で移籍後初適時打、初打点。美馬のレギュラーシーズン初完封を呼び込む、絶妙のアシストとなった。梨田監督は「3点差だったら分からなかったが、今江で4点目が入ったので、球数を考えながら最後までと思った」と明かした。昨年9月に右ひじ手術を経験した右腕のために、今江は「打点を挙げられてよかったけど、美馬がいい投球をしていたから打ててよかった」。フォアザチームの思いが打球に乗った。チームの連敗を止め、4月1日からの西武戦に備えて仙台へ戻った。次は本拠地初「BURN!」で豪快に笑う。【松本岳志】