オリックス金子千尋投手(32)が史上133人目の通算100勝を達成した。5回1死まで無安打投球を続け、7回に2点を奪われたがチームを3度目の3連勝に導いた。56敗での100勝は、48年森弘太郎と並び球団史上最少黒星の到達。開幕から1カ月白星のなかった右腕はこれで3連勝。「負けないエース」が戻ってきた。
金子はお立ち台で記念ボードを誇らしげに掲げた。「これまでの監督、コーチ、チームメート、いろんな方に支えられてきた。自分では100勝できると思ってなかった。プロに入ってけがをして、最初は先発として投げるイメージがなかったので」と感謝した。
1回に2四球も5回1死まで無安打。6回は2死三塁からデスパイネに力勝負で空振り三振。7回に井口の適時打で2失点も、先発の役割を果たした。
通算6割4分1厘の高勝率。もし2000投球回以上の歴代投手の中に入れば藤本英雄、稲尾和久、斎藤雅樹、杉内俊哉に次ぐ史上5位に相当する。負け越した年がない右腕は、驚異的なペースで勝ってきた。
それでも納得はしていない。「正直に言えば、もう少し早く達成したかった。(元ソフトバンク)斉藤和巳さんの通算成績(79勝23敗)を見ると、足元にも及ばない」。節目の白星は覚えているが、強く印象に残る1勝はまだないという。
金子といえば多彩な変化球が代名詞。今年のオープン戦では、いわゆる「フロントドア」と呼ばれる左打者の内角ツーシームをサインに組み込もうとした。ところが捕手伊藤は困ったことに気づいた。「指の数が足りなくなったんです…」。豊富な球種を誇る金子ならではの出来事だった。
その変化球も、基本の真っすぐがあってこそ。投手の球を受けて35年の別府ブルペン担当コーチは、金子の直球は独特と証言する。「手元でグンと伸びてくる。速球派といわれる投手でもあまりない感じ」。どの球も一級品だからこそ、白星を積み重ねてきた。2度の最多勝を獲得し、14年にはMVP受賞。「もっと相手に威圧感を与えられる投手になりたい。もっともっと(勝ちを)伸ばしていきたい」。向上心は尽きない。【大池和幸】
▼金子がロッテ9回戦(京セラドーム)で今季3勝目を挙げ、プロ野球133人目の通算100勝を達成した。初勝利は06年8月9日の西武14回戦(京セラドーム)で、通算成績が100勝56敗の勝率6割4分1厘。100勝達成時の敗戦数が最も少ないのは59年稲尾(西鉄)の27敗(勝率7割8分7厘)で、オリックスでは48年森に並び最少。ドラフト制後の入団投手では85年江川(巨人)と並んで6番目に少ないが、他の投手は優勝チームで投げている中、優勝経験なしの金子が高い勝率で100勝に到達した。



