強風もこの男には関係なかった。ヤクルト山田哲人内野手(23)が、一振りで試合を決めた。1-1の同点で迎えた8回1死走者なしで、リーグ独走の27号ソロ。球場周辺で風速8メートルを記録し、さらに逆風という悪条件の中で左翼スタンドへアーチを描いた。4打数3安打1打点と猛打賞の活躍でチームの連勝に貢献した。
山田の打球が、センター方向から吹き荒れる風を切り裂いた。同点の8回1死走者なし。低い弾道で飛び出した打球は、風に勢いを殺されることもなく左翼ポール際へ入った。「まさか本塁打になるとは、想像以上の結果です。でも強風だからゴロを打とうとか、ライナー性とかは意識していなかった。たまたま」と本人も驚く1発が、海べりの秋田・こまちスタジアムで生まれた。
球場周辺では風速8メートルが記録されていた。舞い上がった打球は大きな影響を受け、両軍合わせて14個のフライアウトがあった。だが、山田の打球は風など関係なかった。真中監督は「あの方向、弾道しかないという本塁打だった。高く上がると風にやられてしまう」とうなった。
勝負どころの1発は、昨年からの成長を物語る。打った球は真ん中高めに抜けたスライダー。投げた宮国にとっては失投だった。今年の山田はそれを逃さない。杉村打撃コーチが言う。「去年に比べてミスショットが少なくなっている。以前はチャンスの球をゴロにすることが多かったが、今はほとんどない。それだけボールにいい角度がついているんだろう」。首位打者を争う巨人坂本も「甘い球を1球で仕留める技術がすごい。あれだけフルスイングしながら、ミスショットがないのはすごいです」と認めている。
勝負を決した、今季27本目のアーチ。プロ6年目で、通算98本目となった。節目の100本まであと2本。本人は「あまり数字とか気にしていないです」と言うが、達成する日はすぐそこまで来ている。昨年(5月10日中日戦)もこの地で、先頭打者アーチを記録した山田。お立ち台で、「秋田の水に合っていると思います」と東北のファンを熱くさせた。【栗田尚樹】



