「意外性の男」が9連勝の立役者になった。日本ハム市川友也捕手(31)がソフトバンク戦で、1点リードの7回に今季1号の3ランを放って試合を決めた。マスクをかぶっても、好リードで相手打線をシャットアウト。8番を打つ“伏兵”の活躍は、チームの勢いが本物であることの証し。貯金は今季最多の12と、首位ソフトバンクを猛追している。
コンパクトに振り抜いた。外角、ボール気味の153キロ直球。右翼へ飛んだ市川の打球は、そのままホームランテラスに吸い込まれた。「追加点が欲しかった。(相手のスアレスは)球が速いので真っすぐに絞っていました」。1点リードの7回2死二、三塁。試合を決定づける1発は「意外性の男」のバットから生まれた。スアレスは来日初の被弾だった。
9連勝中にスタメン出場したのは4試合目。常にマスクをかぶっているわけではないが、有原を巧みにリードした。ここにも「意外性」があった。2回、長谷川を空振り三振に仕留めた勝負球はチェンジアップだった。「投げさせたのは初めてでした」。カットボールやフォークというこれまで軸にしてきた球種を減らし、チェンジアップやカーブを配した。ソフトバンク打線は面食らった。
今季の出場は42戦目。毎試合出場できない難しさを、欠かさない準備でカバーしている。5月9日の誕生日は、遠征の合間だったため、東京で丸1日の休養日だった。関東に自宅がある市川にとっては、絶好のリフレッシュの機会だったが、千葉・鎌ケ谷の2軍施設に、その姿はあった。「体は動かしておかないと」。黙々と汗を流した。自身の誕生日であるにもかかわらず、「奥さんに何か買って帰ります」。支えになってくれている妻へ、「意外性」抜群のサプライズプレゼントを贈ったという。
下位打線の市川が立役者になった大きな1勝。連勝が伸び続けていることは、もはや「意外」でも何でもない。【本間翼】
◆大差逆転Vメモ 過去に10ゲーム差以上を逆転した優勝が6度ある。最大差は63年西鉄で7月12日、63試合消化時の14・5ゲーム差をひっくり返した。当時は150試合制だったが、残り59試合の8月14日時点でも首位南海から10ゲーム差つけられていた。58年西鉄は終盤に13連勝し、残り50試合時の7月24日にあった11ゲーム差を逆転。00年以降では08年巨人が13ゲーム差、11年中日が10ゲーム差をひっくり返している。08年巨人は9月に12連勝、11年中日は9月以降にあったヤクルトとの直接対決に8勝1敗と勝ち越した。



