6年目の阪神荒木郁也内野手(28)がプロ初打点に快足披露に、存分にアピールした。ここ5試合で3度目の先発出場。3点リードの4回無死一、三塁。1ボールからランエンドヒット指令に応え、見逃せばボール球の低めチェンジアップに食らいついた。「なんとか低いゴロで、と思っていました」。一、二塁間を破って6連打を完成させ、プロ初打点を記録。再び一、三塁の好機をつくり、この回9得点の猛攻につなげた。

 「初打点は(周りに)言われて気づいたぐらい。勝ったことが一番です」

 6年目の初打点には冷静だったが、5回は先頭で脅威のスピードを見せつけた。一塁左へ平凡なゴロを転がすも、投手岩橋のベースカバーを一瞬で抜き去って楽々セーフ。50メートル5秒7の俊足であっさり内野安打をもぎ取った。「自分の持ち味なので」。さも当たり前のように振り返ったが、最大の武器をキープするために努力は欠かしていない。

 開幕後の今春。2軍戦が終わった直後の鳴尾浜に、黙々と1人で二盗を練習する荒木の姿があった。他の選手が打撃や守備に磨きをかける中、丹念に間合いを計って一塁から二塁へスライディング。生き残りをかけ、足の進化も図ってきたから今がある。

 「最初から行くのも、後から行くのも、体と心の準備は変わらないので。とにかくチームに貢献できて良かったです」

 西岡の負傷離脱で混沌(こんとん)とする二塁争い。伏兵28歳の存在感が増してきた。【佐井陽介】