苦しんだ男が、虎を救った。阪神の江越大賀外野手(23)が5回に同点5号ソロ、9回には同点右犠飛と勝負強い打撃で2打点を挙げた。本塁打は、出場4試合連続アーチをマークした4月9日広島戦以来、実に4カ月ぶり。この日は途中出場だったが、チャンスをしっかりとものにし、チームに大きな勝利を運んできた。
江越が復活を猛アピールした。4回途中から中堅守備につき、5回に迎えた初打席。DeNA先発ペトリックの134キロのカットボールを捉えた。右方向へぐんぐんライナーは伸び、そのままスタンドに届いた。
「今までは左膝が開いてしまった状態で打っていた。しっかりとボールに入っていって、踏み込んでスイングするイメージで練習に取り組んでいるのですが、それができた打席でした」
約4カ月ぶりの5号ソロはプロ入り初めての右方向だった。左膝が開いた状態では右方向には飛ばない。連日の金本監督の指導を受け、しっかりと課題を修正できた証しだった。再度勝ち越されたが、土壇場の9回には同点の右犠飛。2打点で逆転勝ちに貢献した。
4月は出場4試合連続弾を放って、開花かと思わせた。しかし、最後に本塁打を放った4月9日を境に長くて苦しい日々が待っていた。5月に打撃不振で出場選手登録を抹消。6月末に1軍に復帰し、後半戦も「3番中堅」でスタメンに名を連ねたが、思うように結果がついてこない。はい上がろう、期待に応えよう、その思いを胸に連日バットを振ってきた。
1日のオフ、炎天下の鳴尾浜で1人黙々と走る背番号25の姿があった。「ちょっと疲れている感じがしたので」。夏の長期ロードを前に、少しでも体のキレを取り戻すことが目的だった。不断の精進を怠らずこの日の結果を呼んだ。
ただ、金本監督は手放しでは褒めなかった。「最後がいかん。ストライク入らん投手からボール球を振るのは、若いから仕方ないという見方もあるけど、どう反省していくか」。10回、ザガースキーの真っすぐで空振り三振に不満顔。もちろん、すべては期待の裏返しだ。
今季1号を放った横浜で復活アーチを描いたのも何かの縁か。プロ入り通算10本目のアーチ。江越が本塁打を打った試合は9勝1敗の高勝率の縁起物になってきた。中堅は日替わり起用が続き、固定できていない。「チャンスでしっかりアピールできたら」。この1発でレギュラー奪取へ弾みをつけたい。【山川智之】
▼江越が5回に放った5号同点ソロは、プロ通算10本塁打目にして初めて右方向へ記録した。江越が本塁打した10試合で、阪神は9勝1敗の好成績だ。昨季は5本塁打中、4本が肩書付き(先制、同点各2)。今季4号の4月9日広島戦では黒田から同点本塁打したが、チームは敗戦。勝ちに結びつく殊勲本塁打は、今季初となった。



